アマゾンが狙う次の成長市場──350億ドルのB2Bビジネスの正体

アマゾン(AMZN)は一般消費者向けのEC市場を制覇した後、今度は法人向け市場、いわゆるB2B(ビジネス・トゥ・ビジネス)分野で静かに勢力を拡大しています。現在、同社のB2B売上は年間350億ドルを超えており、その影響力は急速に拡大しています。

トイレットペーパーから機械部品まで──驚くべき商品ラインナップ

アマゾンは、オフィス用品や清掃用具、医療器具、商業用キッチン機器など、企業が必要とする膨大な商品を提供しています。実際、同社によると、フォーチュン100企業のうち97社がアマゾン・ビジネスの顧客です。

アマゾン・ビジネスでは、大口注文への対応やパレット配送、発注管理のための分析ツールなど、企業ニーズに特化したサービスも整備されています。企業ごとに「ビジネスリスト」を作成し、効率的な購買が可能になる機能も評価されています。

市場規模は2兆ドル超、さらなる成長余地

フォレスターのアナリストであるスチャリタ・コダリ氏は、「アマゾンのB2B事業には非常に大きな成長余地がある」と指摘します。アメリカ国内のB2B eコマース市場は2兆ドルを超えるとされており、現状のアマゾンのシェアを考えると、その伸びしろは極めて大きいと見られています。

さらに、B2B分野の専門家アンディ・ホア氏は、「アマゾンが公表している350億ドルという数字は控えめで、実際には1000億ドル規模に達している可能性がある」と推測しています。

競合も多数、食品や業界特化商品では苦戦も

ただし、アマゾンがB2B市場で無敵というわけではありません。ウォルマート(WMT)やコストコ(COST)、シスコ(SYY)などの大手企業も法人向けサービスを展開しており、特に食品や業界特化型の商品では地元の専門業者や既存の大手が強みを持っています。

アマゾン側も、「高級ステーキの供給ではまだ十分ではない」としつつも、今後の品ぞろえ拡充に注力すると述べています。

B2Bプライムも導入、法人向けの新サービス拡大へ

アマゾンでは、法人版プライムとも言える「ビジネスプライム」も提供しており、配送特典やコスト削減サービスが受けられます。料金はサービスレベルに応じて異なり、複数のプランが存在します。

アマゾン・ビジネス部門のバイスプレジデントであるブレンダ・スプーンモア氏は、「今後は特定カテゴリーへの深堀りを進めていく」と述べ、商品拡充と業種別ニーズへの対応を強化する意向を明かしています。

AWSと並ぶ成長エンジンとなるか

アマゾンにはすでにAWS(クラウドサービス)という巨大な成長エンジンがありますが、B2B事業もまた同社の成長を支える新たな柱になると期待されています。グローバルデータのアナリストであるニール・サンダース氏は、「B2B分野はアマゾンにとって“ケーキの上のアイシング”のようなもので、いくらでも拡張可能な領域」と述べています。

まとめ

アマゾンのB2Bビジネスは、今や無視できない成長領域となっています。豊富な商品、テクノロジーによる効率化、スピード配送を武器に、今後も企業購買のあり方を大きく変える存在になりそうです。消費者市場だけでなく、法人市場でも「アマゾン経済圏」が広がり続けています。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN

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