AIブームに陰り?オラクル社債が映すウォール街の不安

  • 2025年9月28日
  • 2025年9月28日
  • BS余話

2025年も後半に入り、生成AI関連銘柄の勢いに変化の兆しが見え始めています。米メディアの報道によれば、先週は複数の著名アナリストが相次いでAI関連投資に対するリスクに言及し、市場では「AIブーム」の持続性に対する疑念が浮上しました。

とりわけ注目を集めたのは、オラクル(ORCL)による“異例”の大型社債発行です。この動きは、AIデータセンター投資がこれまでの「潤沢なキャッシュフローによる自己資金」依存から、「借金によるレバレッジ活用」へとシフトする可能性を示唆しています。


オラクル・オープンAI・エヌビディアの資金循環構造に市場が注目

先週注目を集めた一連の提携・資金調達事例の中で、オラクルとオープンAIの契約、さらにはオープンAIとエヌビディア(NVDA)の関係性が、いわゆる“循環型ファイナンス”として警戒され始めました。

インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジストであるスティーブ・ソスニック氏は、1990年代末の光ファイバーブームに似た構図だと指摘。インフラ整備が過剰となり、最終的に破綻や不良資産化が相次いだ過去の事例と重ねる声も出ています。


“ダークファイバーの再来”への懸念

バークレイズのアナリストチームも、「データセンターの急拡大が、過剰設備に転化するリスクがある」として、いわゆる“ダークファイバーモーメント”に備える必要性を強調しました。

この言葉は、1990年代の通信バブルに由来し、大量に敷設された光ファイバーケーブルの多くが長らく未使用のまま放置された状況を指します。今のAI投資も、最終的な収益化が見込めなければ「無用の長物」になりかねないとの指摘です。


コアウィーブやスーパー・マイクロの株価が停滞

AIインフラの中心銘柄とされるコアウィーブ(CRWV)やスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の株価も、6月以降は冴えない展開となっており、市場の警戒感を反映しています。

また、AI関連銘柄の一角であるエヌビディアの株価も、8月以降は横ばい傾向が続いています。テクニカル指標でも過熱感が指摘され、調整局面入りの可能性が取り沙汰され始めました。


電力不足・中国リスク・借金主導型投資…重なるリスク要因

JPモルガン・アセットマネジメントのマイケル・センバレスト氏は、AI関連投資が米国市場全体の75%の上昇、80%の利益成長、90%の設備投資を占めてきたと指摘しつつ、「電力供給の逼迫」や「中国企業によるAIチップ独自開発」などのリスクが顕在化しつつあると警告しました。

これらが現実化すれば、エヌビディアの支配力が揺らぎ、AIブーム全体の地盤沈下を引き起こしかねないとの見方が出ています。


ヘッジファンドも慎重姿勢に

シタデルのケン・グリフィン氏は「AIにはドットコムバブルの面影がある」とコメント。グリーンライト・キャピタルのデビッド・アインホーン氏も、「AIデータセンターへの無制限な支出は莫大な資本損失を招く可能性がある」と語りました。


まとめ:一旦立ち止まる局面か、それとも健全な調整か

今回の一連の分析・懸念の背景には、「AIブームが単なる話題先行に終わるのではないか」という警戒感があります。

とはいえ、バークレイズは「収益成長や求人増、企業決算でのAI言及数増加」を根拠に、強気姿勢を維持しており、短期的な調整と見る見方も根強いです。

本格的な下落トレンドへ移行するのか、それとも再び新たな成長局面に向かうのか。投資家は冷静な視点で、AI関連銘柄の選別を進める必要がある局面に差し掛かっているのかもしれません。

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