米国で職業訓練を提供する教育機関、ユニバーサル・テクニカル・インスティテュート(UTI)の株が再び注目を集めています。投資情報メディアのバロンズが2025年9月24日付けの記事で買い推奨。最近の株価調整をチャンスととらえ、40%近い上昇余地があるとの強気の見方を示しました。
AI化が進んでも「なくならない職業」を育てる教育機関
生成AIや自動化がホワイトカラー職を席巻し始めた今、反対に求人数が増えているのが、スキルベースの技術職です。整備士や電気技師、医療関連の職種は、AIに代替されにくい分野として人材不足が深刻化しています。
UTIは、まさにそのギャップを埋める存在です。60年以上の歴史を持つ自動車整備プログラムに加え、航空機整備、風力タービン設置、HVACR(空調設備)、溶接など、多様な職業訓練を提供。2022年には医療系の教育機関Concorde Career Collegesを買収し、看護や歯科衛生などの医療系プログラムにも進出しました。
米国全土で展開、成長戦略も明確
本社はアリゾナ州フェニックス。全米に32キャンパスを展開し、現在2万2,000人以上の学生が在籍しています。新たな成長戦略「North Star」では、電気・電子・産業技術(EEIT)分野への進出も開始。ロボティクスやビル配線、ワイヤレス通信など、次世代技術の担い手を育成するプログラムも立ち上げました。
CEOのジェローム・グラント氏は、「AIや自動化が進むほど、技術系人材の需要は持続的に増加する」とコメントしています。
業績好調、アナリストも強気評価
2025年第三四半期の売上は前年比+15%の2億400万ドル、調整後EBITDAは+37%増の2,530万ドル。通年では売上+14%、EBITDA+22%増が見込まれています。
こうした成長見通しに対し、トゥウルイスト証券のアナリスト、ジャスパー・ビブ氏はUTIに対する「買い」の評価を維持し、目標株価を40ドルに設定。これは9月24日時点の株価29ドルから約38%の上昇余地となります。
政策の追い風と競合優位性
トランプ政権下で短期技術訓練への連邦助成金(ペル・グラント)の拡充が進められており、UTIのような教育機関には追い風です。なお、この助成金による収益は、現在の中期業績予想には含まれておらず、今後のアップサイド要因となる可能性があります。
競合のLincoln Educational ServicesやAdtalemと比較しても、UTIは医療と技術職の両輪を持ち、キャンパス数や学生数でも上回るポジションにあります。3つの新キャンパス開設も予定されており、成長余地はさらに大きいと見られています。
記事掲載後株価は上昇
過去1年間で株価は70%上昇しましたが、8月には一時的に16%下落しました。9月に入ると、株価は200日移動平均線(約29ドル)付近で下げ止まる動きを見せていましたが、バロンズの記事が掲載されたことをきっかけに反発。過去5営業日で12.6%上昇し、26日の終値は31.85ドルとなりました。年末にかけては、35ドル台までの回復も視野に入る展開となっています。
まとめ:AIに奪われない職を支えるUTIは長期的に注目
AI時代の中で、UTIは「なくならない仕事」に直結するスキルを提供するという、極めて時代に合ったビジネスモデルを持っています。規模・分野の多様性・成長戦略・財務体質といった点でもバランスが取れており、今後も堅実な成長が期待されます。
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