2025年、AIとクラウド分野での激しい競争の中、アマゾン(AMZN)の株価は足踏みを続けており、いまや「マグニフィセント・セブン(エヌビディア、アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ、テスラ)」の中で最も低迷している銘柄となりました。
2025年9月23日時点で、アマゾンの年初来リターンはわずか+0.6%。アップル(AAPL)がiPhone販売好調により株価を持ち直したことで、順位が入れ替わる形となりました。
AWSの成長鈍化とAI戦略への懸念
株価低迷の背景には、アマゾンの主力事業であるAWS(Amazon Web Services)の成長鈍化と、AI分野での戦略が見えづらいことへの投資家の不満があります。
2025年第2四半期のAWSの売上成長率は+17.5%で、アナリスト予想通りの内容でした。これに対し、マイクロソフト(MSFT)のAzureは+39%、アルファベット(GOOGL)のクラウド事業は+32%の成長を見せ、いずれも市場予想を上回りました。
さらに、アマゾンCEOのアンディ・ジャシー氏は最新の決算発表で、AWSの具体的なガイダンスを示さず、市場の不透明感を高める結果となりました。
5年のリターンでもS&P500に大きく劣後
2025年現在、アマゾン株は過去5年で+43%のリターンにとどまっており、S&P500(SPX)の+102%に大きく見劣りします。年率換算で見ると、アマゾンは+7.4%、S&P500は+15.1%と、2倍以上の差がついています。
AzureがAWSを追い上げる構図に変化
市場シェアでは依然としてAWSが最大ですが、Azureの急成長により、かつての「圧倒的リード」は失われつつあります。
調査会社Radio Free Mobileの創業者リチャード・ウィンザー氏は、「AWSは以前はAzureより何桁も大きかったが、その差は縮小し続けている」と指摘します。
現在、Azureの年間売上は約750億ドル、AWSは約1230億ドルのランレートです。今後もこの傾向が続けば、AzureがAWSを追い越す可能性すらあると指摘されています。
成長の足かせとなる3つの要因
AWSの成長には以下のような制約も存在しています。
- 電力供給の制限
- チップ供給の不安定さ
- サーバー部品の調達難
これらの問題について、ジャシー氏は「解消には数四半期かかる可能性がある」と発言しており、短期的な改善は難しいとの見方もあります。
今後の焦点は第3四半期決算
次回の第3四半期決算でAWSの成長が再加速し、前年比+20%に近づけば、投資家心理を支える材料になると見られています。しかしながら、当面は「様子見モード」が続くと、米国みずほ証券のアナリストであるジョーダン・クライン氏は語っています。
このように、2025年のアマゾン株はクラウド競争の激化とAI戦略の曖昧さから厳しい立場に立たされています。次の決算で流れを変えることができるのか、注目が集まります。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN
🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇