生成AIブームの主役として市場をけん引してきたエヌビディア(NVDA)ですが、2024年10月以降の株価パフォーマンスは他のAI関連銘柄と比較して出遅れが目立ちます。投資情報メディアのバロンズは2025年9月19日付けの記事で、なぜエヌビディア株が伸び悩んでいるのかについて、市場関係者の声をもとに分析しています。
チャットGPT登場以降は圧倒的な上昇を記録
調査会社Bespoke Investment Groupによれば、エヌビディア株は2022年11月30日のChatGPT公開以降、2025年8月までに株価が約10倍近く上昇しました。しかし、2024年10月31日以降では、同社株の上昇率は+28%にとどまり、同時期に+68%上昇したマイクロン・テクノロジー(MU)やTSMC(TSM)、シーゲート・テクノロジー(STX)といった関連銘柄に後れを取っています。
他のインフラ系AI銘柄とも差が拡大
チップメーカーに限らず、AIインフラに関わる銘柄群でもエヌビディアの相対的な弱さが目立ちます。たとえば、データセンター電力関連のコンステレーション・エナジー(CEG)やNRGエナジー(NRG)、クアンタ・サービシズ(PWR)などを含む「Picks & Shovels」バスケットは、同期間で+61%を記録しています。
決算は良好だったが材料視されず
2025年第2四半期決算では、売上やガイダンスともに市場予想を上回りましたが、株価の反応は限定的でした。オラクル(ORCL)の契約残高急増などが話題をさらったこともあり、エヌビディアにはポジティブ材料が届きにくい地合いとなっています。
中国リスクとGPU価格の低下
中国におけるAI半導体規制や米政府による15%の収益分配要求といった報道が投資家心理に影響を与えているとの見方もありますが、実際にはそれが株価の明確な下押し要因とはなっていないようです。一方で、GPUのレンタル価格が4月の1時間2.89ドルから、9月には2.15ドルまで低下している点は注目されます。新たに登場したブラックウェル世代のGPUは効率性が高い一方、価格競争の激化も示唆しています。
インテルとの提携報道で一時反発も
そんな中、9月18日には、エヌビディアとインテル(INTC)がデータセンターおよびPC向けチップで提携するという報道を受けて、株価は一時3.5%上昇しました。ただし、この反発が中長期的なトレンド転換を示すのかどうかは見極めが必要です。
市場の“静かな異変”をどう読むか
記事では、「市場は問題を投資家より早く察知する」としつつも、現時点では確たる懸念材料が見当たらないと指摘されています。Bespokeは「長期的勝者にも一時的な“試練”が訪れることがある」として、今後のエヌビディア株の展開を冷静に見守る姿勢を示しています。
まとめ:エヌビディアの“評価調整期間”か
この記事は、エヌビディアの低調なパフォーマンスが必ずしもネガティブサプライズによるものではないことを強調しています。むしろ、過去の急騰の反動や周辺銘柄とのバリュエーション調整の文脈で捉えるべきとの見方もあります。AIブームの主役に再びスポットライトが当たる日が来るのか、今後も要注目です。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA
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