デンマークの医薬品大手ノボ・ノルディスク(NVO)は、同社のブロックバスター薬「ウゴービ(Wegovy)」に続く次世代の肥満治療薬として期待されていた「CagriSema(カグリセマ)」の追加データを公開しました。しかし、今回のデータは市場の期待を超えるものではなく、株価回復への起爆剤とはなりませんでした。
ウゴービ後継薬候補「CagriSema」の正体
CagriSemaは、ウゴービと「カグリリンタイド(cagrilintide)」という別の作用機序を持つ薬剤を組み合わせたものです。ノボは当初、この組み合わせで体重の25%以上の減少が期待できるとしていましたが、2024年12月に公表された第3相試験(REDEFINE 1)の結果では、体重減少率は22.7%にとどまり、株価は大きく下落しました。
今回の追加データの中身
新たに公表されたデータは、REDEFINE 1試験における「カグリリンタイド単独投与群」の結果です。この群では、平均で11.8%の体重減少が確認され、プラセボ群の2.3%と比較して有意な差がありました。
しかし、同社のウゴービ単独投与では14.9%の減少が得られており、それと比較するとやや見劣りする結果です。また、ライバルであるイーライ・リリー(LLY)のZepboundや開発中のレタトルチド(retatrutide)は、さらに高い効果が期待されており、競争は激化しています。
唯一の明るい材料は「副作用の少なさ」
一方で、カグリリンタイドの副作用プロファイルは好感されました。吐き気による治療中断率は1%にとどまり、ウゴービの6.8%と比べて大幅に低下しています。今後は特定の患者層に向けた代替療法としての位置づけが模索されると見られています。
今後の展望と懸念
ノボは、2025年内にカグリリンタイド単独の新たな臨床試験「RENEW」を開始すると発表していますが、市場では依然としてイーライ・リリーとのパイプライン格差を懸念する声が強く、投資家の信頼回復には時間がかかりそうです。
ノボのADRは9月16日の米国市場の昼過ぎの段階で3.3%上昇していますが、年初来では30%以上の下落が続いています。
*過去記事「ノボ・ノルディスク株が急伸!減量薬ウゴービに新たな適応承認」
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