2025年9月13日、マーケットウォッチが報じたところによると、オラクル(ORCL)がクラウド事業で劇的な成長を遂げつつある背景には、共同創業者ラリー・エリソン氏の影響が色濃く反映されています。同氏は現在81歳ながら、今もなお積極的に経営に関与しており、企業向けAIクラウド契約の獲得にも深く関与しているといいます。
2,000拠点へ拡大を見据えるクラウド戦略
オラクルは2023年に、わずか162カ所のデータセンターを将来的に2,000拠点へ拡張するという目標を掲げました。これはクラウド大手との真っ向勝負に打って出るという、オラクルの明確な意思表示でもありました。実際、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)は、2025年の売上が102億ドルであったにもかかわらず、2030年までに1,440億ドルに達するという強気な見通しが発表されています。
オラクルがAI時代に支持される理由
同記事によると、オラクルの成長を支えるのは、以下のような要素です:
- ハイパフォーマンスなAIトレーニング向けインフラ提供
- 他社クラウドからのワークロード移行を受け入れる柔軟性
- 他社にはない“モジュラー構造”で小型の専用クラウドを構築可能
たとえば、OCIの「butterfly」インスタンスでは、わずか3ラックのサーバーで、すべての機能を搭載したクラウドを構築でき、コストも約600万ドルに抑えられるとのことです。これは大手クラウド事業者と比べて100分の1のコストになる場合もあるといわれています。
ラリー・エリソンという「人物資産」
アマゾン(AMZN)やアルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)といった競合他社には、「顔」が存在しないことも多い中、オラクルにはエリソン氏という象徴的存在がいます。この点も、オラクルが業界で“信頼されるクラウドパートナー”として存在感を高めている一因です。
大型案件と急拡大のコスト
クラウド事業の成長に伴い、オラクルは今期の設備投資額を従来予想の250億ドルから350億ドルに引き上げました。これは将来の収益を見据えた投資ではあるものの、フリーキャッシュフローは一時的にマイナスとなっており、クラウド事業の利益率も一桁台にとどまる可能性が指摘されています。
AI時代の勝者は「インフラ提供者」
記事では、AIがSaaS企業にとって構造的な脅威になる中、オラクルやマイクロソフトのようにクラウド基盤とソフトウェアの両方を提供する企業が中長期的には優位に立つとされています。特に、オラクルはAI推論(inference)においても競争力を持つと見られており、次なる成長ステージへの移行が注目されています。
まとめ
オラクルは、クラウドインフラという「次の成長ドライバー」に大胆にシフトしています。中心人物ラリー・エリソン氏の存在感と、他社にはない柔軟なクラウド設計が、同社をAI時代の中心に押し上げつつあります。まだ収益性には課題が残るものの、今後の成長性には十分な注目が集まっています。
*過去記事「オラクル株36%急騰!AI推論需要が爆発的に加速中」
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