ウィンクルボス兄弟のジェミニ、上場初日に急騰

  • 2025年9月13日
  • 2025年9月13日
  • BS余話

仮想通貨ブローカー企業「ジェミニ・スペース・ステーション(ティッカー:GEMI)」が、ついにナスダック市場に上場しました。ウィンクルボス兄弟が率いるこの企業は、IPO(新規株式公開)初日に最大45%の上昇を記録し、市場の注目を集めました。

予想を上回るIPO価格と初値の動き

ジェミニは、当初の想定価格レンジである17~19ドルを大きく上回り、28ドルでIPO価格を決定しました。株式市場では取引開始直後に約41ドルまで急騰し、何度か売買停止がかかるほどのボラティリティを見せました。その後、午後にはやや値を下げつつも、33.60ドル付近で推移し、時価総額はおよそ40億ドルに達しました。

今回のIPOで同社は約15.2百万株を売却し、4億2,500万ドルを調達しました。

仮想通貨市場の復調が追い風に

ビットコインなどのデジタル資産価格の上昇が、ジェミニの上場成功を後押ししました。サークル・インターネット・グループ(CRCL)やブリッシュ(BLSH)、フィギュア・テクノロジー(FIGR)といった仮想通貨関連企業のIPO成功もあり、市場全体が仮想通貨企業に前向きな姿勢を見せています。

また、米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長による、仮想通貨業界に対する前向きな姿勢も投資家心理を後押ししているとみられます。

財務状況には課題も

ジェミニは成長企業である一方で、損益面では課題を抱えています。2024年には売上が前年比45%増の1億4,220万ドルとなったものの、純損失は1億5,850万ドルを計上しました。さらに、2025年前半は売上が前年同期比で約8%減少し、純損失は2億8,250万ドルへと拡大しています。

ただし、取引ユーザー数は前年同期比で約6%増の52.3万人、取引高は50%近く増加し、248億ドルに到達。プラットフォーム上の資産残高も30%以上増え、182億ドルとなりました。

今後の成長戦略とナスダックの支援

ジェミニのCFOであるダン・チェン氏は、IPOはあくまで通過点だとし、今後はプロダクトの多様化や機関投資家との関係構築に力を入れる方針を示しました。同社はすでに仮想通貨で報酬が得られるクレジットカードなども展開しており、リスク分散を意識した事業戦略を打ち出しています。

さらに、ナスダックが同社に5,000万ドルの戦略的出資を行うことも明らかになりました。ナスダックは機関投資家向けの暗号資産関連サービス拡充を図っており、ジェミニとの連携を強化する狙いがあります。

初日急騰後の値動きには注意も

多くのIPO銘柄が初日に上昇した後に利益確定売りで下落する傾向にあることから、ジェミニの株価も今後は乱高下が予想されます。市場関係者の間では、「初日に買って数日で売る」という“ツイン戦略”が引き続き有効と見られています。


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