2025年9月11日、人工知能(AI)業界で大きな進展が報じられました。オープンAIとマイクロソフト(MSFT)が、次の提携フェーズに向けた非拘束の基本合意書(MOU)を締結したと発表しました。しかし、その一方で、主導権を握っているのはマイクロソフトのままです。
オープンAIの資金調達と組織変更の背景
オープンAIは2025年初頭、400億ドル規模の資金調達に成功しました。ただし、そのうち半分の200億ドルは条件付きで、同団体が現在の非営利組織からパブリック・ベネフィット・コーポレーション(公益企業)へと再構築されることが前提です。この構造変更が実現すれば、通常の株式による資本調達が可能になります。
立ちはだかる4つのハードル
この構造転換を進めるうえで、以下の4つの大きな障壁が存在します。
- カリフォルニア州の司法長官の承認
- デラウェア州の法人監督機関の承認(オープンAIは同州に登記)
- イーロン・マスク氏による訴訟(創業者の一人であり、現在は関係を断絶)
- マイクロソフトの承認(初期投資で利益制限付き子会社の株式を保有)
特にマイクロソフトは、構造変更の承認を左右する立場にあります。オープンAIが変革を進めるためには、マイクロソフトとの合意が必須です。
MOUは前進だが、決定権はマイクロソフトに
今回の合意は、両社が共同で出したわずか49語の声明で明かされました。「次の提携フェーズに向けた非拘束の基本合意を締結した」とされていますが、あくまで拘束力のない覚書であり、最終契約ではありません。
年末には200億ドルの調達が失効するタイムリミットが迫っており、オープンAI側にとっては時間との戦いです。このため、交渉上の主導権はマイクロソフトにあるといえます。
市場の反応:マイクロソフト株が上昇
このニュースを受けて、マイクロソフトの株価は時間外取引で1.8%上昇しました。AI関連株が再び注目を集めるなか、投資家の期待感が反映された動きといえます。
まとめ
オープンAIは次なる資金調達に向けて重要な一歩を踏み出しましたが、最終的な鍵を握るのはマイクロソフトです。今後の正式契約に向けた進展と、年末までの交渉の行方に注目が集まります。
*過去記事「オープンAI、過去最大級のキャッシュバーン予測──2030年に向けた壮大な投資とは」
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