ChatGPTの急成長で注目を集めるオープンAIですが、その裏側では前例のない規模の支出が進行しています。米メディアThe Informationが報じた内容によると、オープンAIは今後数年にわたり、3,500億ドル以上をコンピューティングコストに費やす計画を立てており、そのビジネスモデルの持続可能性に疑問符が投げかけられています。
コンピューティングと人材に売上の7割以上を投入
The Informationが入手したオープンAIの最新予測によれば、2030年時点で売上の約75%をサーバーレンタル費用と技術系人材への報酬に充てるとしています。2030年の売上目標は2,000億ドルに達する見通しですが、そのうち900億ドルが研究開発費、500億ドルが推論処理(Inference)向けコンピューティングコストとなる見込みです。
他社と比べて異常に高い研究開発費の割合
オープンAIのR&D(研究開発)費は、売上の約45%にも及ぶとされており、これはアマゾン、マイクロソフト、グーグル(アルファベット)、メタなどの大手テック企業(10〜25%)と比較しても突出しています。AI開発における競争が激化する中、オープンAIは先行優位を維持するために高額な報酬で研究者を確保し、最新のAIモデルを訓練するための膨大な演算資源を必要としているのです。
GPT-5の省エネ化も限定的?
2025年8月にリリースされたGPT-5では、簡易な質問には軽量モデルを使うことでコスト削減を狙っていますが、The Informationによれば、実際にはより高精度なモデルも多くのユーザーに開放されたため、全体としてコストはむしろ上昇した可能性があるとのことです。
利益化までの道のりは遠く、誤差の余地は小さい
オープンAIは、2030年にはフリーキャッシュフロー(実質的な利益)を生み出せるようになるとしていますが、それまでに1,000億ドル規模の赤字を抱える見通しであり、コスト構造に誤算があれば破綻しかねないリスクもはらんでいます。
恩恵を受けるのはクラウドベンダー各社
この支出構造により、恩恵を受けるのはオープンAIと契約するクラウドベンダー(オラクル、マイクロソフト、アルファベット、コアウィーブ)です。中でもオラクルは、2027年から2032年の間にオープンAIから3,000億ドルの収益を得る可能性があるとも報じられています。
まとめ:オープンAIは“次のアマゾン”になれるのか?
オープンAIの成長ポテンシャルには大きな期待が寄せられていますが、それを支えるためのインフラと人材投資は桁違いの水準です。クラウド支出を自社運用に切り替えていく戦略も見据えつつ、果たしてこの規模のコスト構造で安定した収益化が可能かが今後の大きな焦点となりそうです。
*過去記事「オープンAI、過去最大級のキャッシュバーン予測──2030年に向けた壮大な投資とは」
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