米金融大手モルガン・スタンレーが、アマゾン(AMZN)を「トップピック」に選定しました。背景にあるのは、アマゾンが注力する生鮮食品の宅配事業に、約6,000億ドル規模の成長余地があるという見立てです。
生鮮食品宅配市場という巨大な可能性
モルガン・スタンレーのアナリスト、ブライアン・ノワック氏は、アメリカの消費者が2026年には6,000億ドル規模の生鮮食品・日配品を購入するようになると予測しています。アマゾンがこの市場で1%のシェアを獲得するだけでも、米国内の流通総額(GMV)成長に1.2ポイントの寄与があるとのことです。
すでにアマゾンは1,000以上の都市で生鮮品の即日配送を提供しており、年内には2,300地域へ拡大する計画です。
フルフィルメントの強みと利益構造
アマゾンは既存の配送センターを冷蔵・冷凍対応に改修しながら、コールドチェーン物流を構築。さらに「25ドル以上で送料無料」という注文条件により、1注文あたりの利益額(グロス利益)を下支えしています。
また、生鮮食品の販売価格は比較的安いものの、利益率は他カテゴリに比べて高めだとアナリストは評価しています。
Alexaを活用した次世代型買い物体験への布石
モルガン・スタンレーは、アマゾンの「Alexa」などの音声アシスタントによる買い物支援にも注目しています。ユーザーの購買履歴や好みに基づき、レシピ提案や食材の自動注文を実現するエージェンティック(agentic)な買い物体験の可能性が広がっているといいます。
株価のパフォーマンスと見通し
アマゾン株は2025年年初来で+5%とやや物足りない動きですが、S&P500指数(+11%)とのギャップが逆に上昇余地の存在を示しているとも言えます。モルガン・スタンレーはアマゾン株に目標株価300ドル(現在価格から+30%の上昇余地)を設定しています。
まとめ
アマゾンはeコマースやクラウドだけでなく、生鮮食品宅配という巨大市場でも成長を狙っています。
既存の物流インフラとAI技術の活用により、競合他社に対する優位性を維持しつつ、新たな収益源の開拓を進めている点に注目です。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN