2025年9月10日、米国株市場でオラクル(ORCL)株が驚異的な上昇を記録しました。1日での株価上昇率は約40%。時価総額が5,000億ドルを超える規模の企業として、1日で25%以上の上昇は市場初の出来事です。
株価は40%超の急騰、時価総額は1日で2,707億ドル増加
オラクル株は10日の朝の取引で約40%も急騰し、前日の時価総額6,780億ドルから、一時9,487億ドルに到達しました。1日で増加した2,707億ドルの時価総額は、過去最大級の記録です。
これは2023年5月にエヌビディア(NVDA)がAIブームで24%上昇した際のインパクトを彷彿とさせる動きです。
売上よりも「将来見通し」が爆発的な材料に
今回の株価上昇の背景には、決算数値そのものよりも、今後の成長見通しが大きく評価された点があります。オラクルはクラウド関連契約(残存履行義務)が前年比359%増加し、4,550億ドルに達したと報告。これは、オープンAIやソフトバンクとの「スターゲート」プロジェクトなど、AIインフラに関わる巨大契約を含んでいます。
TDカウエンのアナリストは、「オラクルの四半期決算としては史上最も重要なもの」とし、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のAI向け優位性を強調しています。
AI推論(インファレンス)で数千万社を狙う戦略
メリウス・リサーチのアナリストによれば、オラクルはAIトレーニングよりも、AI推論の領域でより大きな商機を見込んでいます。理由は、数千万の一般企業を対象にできるためです。
報告によると、残存履行義務の数字にはxAI(イーロン・マスクのAI企業)やメタ・プラットフォームズ(META)からの契約も含まれている可能性があり、今後2026年以降も大きな収益貢献が見込まれます。
投資先としての恩恵を受ける関連企業
今回のオラクルの大規模なAI関連投資により、次の企業も恩恵を受けると見られています。
- エヌビディア(NVDA)
- ブロードコム(AVGO)
- アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)
- アリスタ・ネットワークス(ANET)
オラクルが今後1年間に3,50億ドル規模の設備投資を予定しており、これが上記企業の収益にも大きな追い風となるでしょう。
ただし、フリーキャッシュフローはマイナスに転落
好材料の一方で、懸念点もあります。メリウスによれば、オラクルのフリーキャッシュフローはマイナスに転じており、成長の代償として資金調達(借入)の必要性が高まる可能性があると指摘。また、D.A. デビッドソンのアナリストは、GPUレンタル事業における利益率が低い、もしくは赤字である可能性もあると警告しています。
オラクルの伝統的な50%の営業利益率モデルから転換する中で、利益成長が鈍化するリスクも無視できません。
10月のアナリストデーで注目すべきポイント
10月に予定されているアナリストデーでは、「利益率をどこまで落とすことが許容されるか」が注目ポイントとなります。売上が急成長しても、利益構造が大きく変化すれば、投資家心理にも影響を与えるためです。
まとめ
オラクルはAIインフラ時代の主役として名乗りを上げました。スターゲートなどの大型契約やAI推論領域での市場拡大戦略、そして大規模な設備投資。今回の株価急騰は、その未来に対する市場の期待の現れです。
ただし、利益構造の変化や資金繰りリスクといった懸念材料もあるため、今後の四半期決算やアナリストデーでの情報開示に注目が集まります。
*過去記事「オラクル株が時間外で+27%急騰!AIクラウド契約が爆発的成長」
🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇