2025年9月9日、米国の医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)の株価が急騰しました。同社は、年初からの厳しい展開の中で信頼回復の兆しを見せつつあります。今回の上昇は、業績の安定と重要な政府評価の結果が市場に安心感を与えたことによるものです。
株価は年間で約45%下落していた
ユナイテッドヘルスの株価は、2025年に入り約45%も下落していました。特に4月には業績予想の大幅な下方修正を発表し、1日で22%も急落するなど、厳しい状況が続いていました。その背景には、高齢者向け医療保険「メディケア・アドバンテージ」事業における不振や経営不安がありました。
新経営体制の下で信頼回復へ
CEOだったアンドリュー・ウィッティ氏が退任し、かつて同社を大きく成長させたスティーブン・ヘムズリー氏が復帰。再建モードに入った同社は、今回の証券取引委員会への提出文書で、7月に示した業績見通しを再確認しました。
メディケア評価で「星4以上」が78%
注目すべきは、米国政府機関(CMS)が管理する「メディケア・アドバンテージ」の品質評価で、78%の加入者が「星4以上」のプランに属しているという暫定結果です。この評価は最大5つ星で行われ、高評価のプランには政府からボーナス支払いがなされます。
この結果は、同社の長期目標である「80%以上」に近く、「過去の実績とも整合的」としています。評価の正式発表は10月ですが、企業には事前に速報が提供されており、それが今回の市場反応につながったようです。
アナリストも「予想範囲内」と評価
TDカウエンのアナリストは、以前の見通しで84%と予測していたものの、今回の数字は「十分許容できる水準」であり、収益への悪影響も限定的と見ています。一部では、評価の低下によって「本格的な利益回復が2028年以降にずれ込む可能性」が指摘されていましたが、その懸念がひとまず和らいだ形です。
それでも不安は残る
今回のポジティブな発表により、株価は9月9日の終値で+8.7%と大きく上昇しました。ただし、これで全てが解決したわけではありません。ユナイテッドヘルスは依然として大きな信頼回復の途上にあり、投資家は今後の動向を慎重に見極める必要があります。
*過去記事「ウォーレン・バフェットがユナイテッドヘルス株を購入した理由」
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