マグニフィセント・セブンが持つ1兆ドルの行方とは?HSBCが提案する資本配分戦略

  • 2025年9月10日
  • 2025年9月10日
  • BS余話

2025年末までに、いわゆる「マグニフィセント・セブン(エヌビディア、アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ、テスラ)」が手元に残す運転キャッシュフローとネットキャッシュの合計が、1兆ドルを超える可能性があるとHSBCのアナリストが予想しています。

この記事では、HSBCによる分析と提案を中心に、各社が今後どのようにこの潤沢な資金を使うべきかを紹介します。

マグニフィセント・セブンの資金力の内訳

HSBCは、同社のカバレッジ外であるアルファベットをコンセンサスデータで補完し、以下のように試算しています。

  • 運転キャッシュフロー:約9,190億ドル
  • ネットキャッシュ:約2,090億ドル
    → 合計:約1兆1,280億ドル

このうち、アマゾン以外の企業はすべてネットキャッシュがプラスで、テスラ以外はすべてキャッシュフローもプラスとされています。

各社の現時点での資本配分方針

HSBCの分析によると、2025年の設備投資(Capex)は7社合計で4,140億ドル規模になる可能性があり、AIを中心とした投資の加速によって、2024年以降は自社株買いよりも設備投資の方が資金配分として重視されてきています。

各社の戦略を簡単に整理すると以下の通りです。

  • アップル(AAPL):自社株買いを最も多く実施(2025年5月に1,100億ドル発表)。ただし、HSBCは「買収やAI投資にもっと資金を向けるべき」と提言。
  • エヌビディア(NVDA):2028年までにキャッシュが5,000億ドルに達する見通し。今後は年間200億~650億ドルの自社株買いが可能との予測。
  • マイクロソフト(MSFT):2029年には営業キャッシュフローが3,590億ドルに達する見通し。引き続き配当と自社株買いが中心、M&Aには慎重な姿勢。
  • メタ・プラットフォームズ(META):AI関連のデータセンター拡充を目的に2025年の設備投資ガイダンスを660億~720億ドルに上方修正。今後数年は850億~900億ドル水準での設備投資が継続すると予想。
  • アマゾン(AMZN)テスラ(TSLA):今年は設備投資に注力。
  • アルファベット(GOOGL):設備投資と自社株買いの両方に積極的。

買収も視野に?新たな資本配分の選択肢

HSBCは「自社株買いがEPSを押し上げておらず、かつ設備投資に限界があるなら、M&Aが資本配分の有力な選択肢になる」と指摘しています。

アップルのティム・クックCEOは2025年7月の決算発表で「年初から7社を買収済み」と述べており、AI分野での大型買収の可能性も示唆しました。

もしアップルが2022~2025年にかけて自社株買いに使った資金をAI投資に充てていれば、メタのAI開発予算を上回っていた可能性があるというのがHSBCの見立てです。

今後の注目ポイント

  • エヌビディアのキャッシュ拡大と新たな買戻し戦略の展開
  • メタのAIインフラ投資が業界全体の設備投資トレンドを牽引
  • アップルのAI領域でのM&Aが業績成長に寄与するかどうか

今後、マグニフィセント・セブンがどう資金を使うかは、AI市場、クラウド、EVなどの成長戦略の鍵を握るだけでなく、株主還元や企業価値の向上にも大きく影響しそうです。

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