米株式市場の代表的な指数であるS&P500に、新たにロビンフッド(HOOD)、アプラビン(APP)、エムコア・グループ(EME)の3社が採用されることが9月5日の米国市場終了後に発表されました。入れ替えは2025年9月22日の市場開始前に実施されます。
ロビンフッドが念願のS&P500入り
ロビンフッドは、個人投資家向けに株式取引アプリを提供するフィンテック企業です。これまで何度も候補に挙げられていたものの採用には至らず、今回は念願のS&P500入りとなりました。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによると、同社は「財務的な健全性(GAAPベースで直近四半期および過去4四半期合計で黒字)」の条件をクリアしたことが、採用の決め手となりました。
ロビンフッドの時価総額は約910億ドルで、発表後の時間外取引では株価が6.6%上昇しました。
アプラビンは最大の未採用企業だった
アプラビンは、アプリ収益化のための広告最適化技術やゲーム向けプラットフォームを提供する米テック企業です。時価総額は約1,690億ドルに達しており、S&P500に未採用だった企業の中で最大規模を誇っていました。
アプラビンの株価は、S&P500への追加決定を受けて時間外取引で6.5%上昇しました。S&P500の情報技術セクターに分類されることになります。
エムコア・グループはS&Pミッドキャップ400から昇格
エムコア・グループは、建設・保守サービスを提供する米国の工業系企業です。これまではS&Pミッドキャップ400の上位銘柄の一つでしたが、今回の昇格によりS&P500のインダストリアルセクターに加わります。時価総額は約280億ドルで、発表後に株価は2.2%上昇しました。
除外されるのはマーケットアクセス、シーザーズ、エンフェーズ
今回の構成銘柄の入れ替えでは、マーケットアクセス・ホールディングス(MKTX)、シーザーズ・エンターテインメント(CZR)、エンフェーズ・エナジー(ENPH)の3社が除外されます。いずれも時価総額が50~70億ドルと相対的に小型化しており、入れ替えの対象となりました。
S&P500の採用条件とは?
S&P500への新規採用には、以下の条件が必要です:
- 米国籍であること
- 時価総額が227億ドル以上
- 流通時価総額が102.5億ドル以上
- 直近四半期および過去4四半期合計でGAAPベースの黒字
加えて、指数委員会による裁量的な判断も含まれ、定期的なリバランス以外のタイミングでも構成銘柄の変更が行われます。実際、過去のS&P500構成銘柄変更のうち約90%は、定期リバランス以外のタイミングで実施されています。
採用を逃した有力候補:ストラテジー
今回の採用に際して注目されていたのが、ストラテジー(MSTR)です。同社はビットコインを大量に保有することで知られています。時価総額は930億ドルを超えており、形式的な基準は満たしていますが、主たる事業がソフトウェアではなくビットコインの保有に偏っているため、S&P500の性質と合致しない可能性が指摘されています。
その他の落選候補:アステラ・ラブズとピュア・ストレージ
その他の候補には、アステラ・ラブズ(ALAB)やピュア・ストレージ(PSTG)といった、急成長を見せる中堅テック企業も名を連ねていました。特にピュア・ストレージは、ここ1カ月で株価が42%上昇しており、S&Pミッドキャップ400からの昇格候補とされていましたが、今回は採用には至りませんでした。
S&P500採用の恩恵とは?
S&P500への採用は、以下のような恩恵を企業にもたらします:
- インデックス連動ファンドによる買い需要の発生
- 投資家の注目度や信頼性の向上
- ブランド価値の上昇
ロビンフッドのCFOであるジェイソン・ウォーニック氏は、「S&P500への採用は、すべての人に金融を民主化するという我々のミッションにおいて大きな一歩」とコメントしています。
まとめ
今回のS&P500構成銘柄の変更では、アプラビンやロビンフッドのような成長企業がついに採用され、インデックスの顔ぶれが新時代に向けて更新されることになりました。除外された企業と合わせて、今後の株価動向や市場の反応にも注目が集まります。
特に個人投資家やインデックス投資家にとっては、構成銘柄の変化がポートフォリオに直接影響を与えるため、見逃せない重要イベントとなっています。
*過去記事「ロビンフッドやアプラビンがS&P500入りか、ヘス買収で指数に空席発生」
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