アリババ(BABA)の株価が決算発表を受けて13%近く上昇しました。2025年8月29日(金)に発表された2025年度第1四半期決算では、純利益が予想を大きく上回った一方で、売上は市場予想をわずかに下回りました。さらに、同社が独自のAIチップ開発に取り組んでいるとの報道も株価を押し上げた要因とされています。
純利益は76%増、売上は価格競争で伸び悩み
アリババの当四半期の純利益は59億ドル、売上は346億ドルでした。市場予想は純利益が37億ドル、売上が350億ドルとされていたため、売上面では若干届きませんでしたが、利益面では大幅な上振れとなりました。これは、トルコのオンラインショッピング企業トレンディオールの売却益などが寄与した一方、営業利益の減少が一部相殺する形となったためです。
中国国内の小売市場では、アリババ、JDドットコム(JD)、メイトゥアンの3社が激しい価格競争を繰り広げており、売上と利益に圧力がかかっている状況です。
AIチップ開発でエヌビディアに対抗
注目すべきは、アリババが新たなAIチップを開発したという報道です。これは、エヌビディア(NVDA)が米国政府の輸出規制により中国向けの先端チップ(H100など)を販売できなくなっている状況を受けた動きです。報道によれば、このチップはより汎用性の高い構造で設計されており、中国国内でのAI開発におけるエヌビディア依存を減らす狙いがあります。
ただし、現時点では中国勢がエヌビディアの先進的なGPUを完全に代替できる技術を持つにはまだ距離があるとの見方が大勢です。とはいえ、ファーウェイ、カンブリコン、バイドゥ(BIDU)、アリババといった企業は、米国の規制の中でも独自開発を進めており、中国のAIエコシステムが着実に構築されつつあるといえます。
クラウド事業は26%成長、AI投資に弾み
アリババのクラウド部門の売上は47億ドルと、前年同期比で26%増加し、市場予想の45億ドルを上回りました。CFOのトビー・シュー氏は「コアビジネスの強さが、クイックコマース(即時配達)とAI関連の取り組みに対する積極的な投資を支えている」と述べました。
また、eコマース部門の売上(タオバオやTモールを含む)は196億ドルと前年同期比10%増加したものの、利益は21%減の54億ドルとなりました。これは1時間以内の配送を目指す即時配達事業への積極投資が要因とみられます。
中国株全体への影響と見通し
中国株は、米中関係の緊張や中国消費者の購買力低下(不動産価格の下落など)によって全体的に慎重なムードが続いていますが、アリババ株は年初から40%以上上昇しており、MSCI中国指数(約28%上昇)を上回っています。
ベンチマーク社のアナリスト、ファン・ジャン氏は「アリババは生成AIとクラウドインフラの分野における主導的立場を維持しており、長期的な強気見通しの柱となっている」と評価しており、アリババ株に「買い」評価を継続、目標株価を176ドルとしています。
まとめ
アリババは、収益面での強さと同時に、AI・クラウドへの戦略的投資に注力しており、今後の中国テック業界の成長をけん引する存在として注目されます。エヌビディアの代替チップ開発は象徴的なニュースであり、米中テクノロジー分断の中で、中国企業が自立を進める動きとして大きな意味を持っています。今後も、アリババのAI戦略と株価の動向から目が離せません。
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