エヌビディア決算の続報:中国リスクと次世代AI製品が焦点に

2025年8月27日に発表されたエヌビディア(NVDA)の決算は、売上・利益ともに市場予想を上回る好調な内容でしたが、その後の株価は時間外で下落しました。本記事では、決算発表後に開催された決算説明会で明らかになったポイントを中心に、エヌビディアの現状と課題を掘り下げます。

H20 GPUは中国で販売ゼロ、地政学リスクが業績の懸念材料に

第2四半期(7月期)において、中国顧客からのH20 GPUの売上はゼロだったことが明らかになりました。これは米中間の地政学的対立を背景とした輸出規制の影響であり、同社は今後の見通しにも中国向けのH20出荷を含めていないとしています。

CFOのコレット・クレス氏は「地政学的課題の解消が進めば、最大50億ドル規模のH20売上が第3四半期に見込める可能性がある」と述べました。CEOジェンスン・フアン氏も、中国向けの新型ブラックウェル・チップの販売を「現実的な選択肢」とし、将来的な再開に含みを持たせています。

「ブラックウェル・ウルトラ」の量産が順調に進行中

エヌビディアは、最新世代のAIサーバー「ブラックウェル・ウルトラ GB300 NVL72」への移行が「シームレス」であり、すでに量産段階に入っていると発表しました。これは、次世代AIモデルの学習や推論に対応する高性能なシステムで、アルファベット、アマゾン、メタなどクラウド大手からの採用も進んでいると見られています。

この新製品の本格稼働により、2025年後半の業績拡大への期待が高まります。

株価は35%上昇後の反落、利益確定売りが影響

エヌビディアの株価は決算発表前までの3カ月で約35%上昇しており、短期的な利益確定売りが出やすい状況でした。たとえ決算内容が良好でも、投資家の期待水準が非常に高かったため、わずかなネガティブ材料が売りにつながる結果となりました。

とくに、データセンター部門が市場予想(413億ドル)をわずかに下回る411億ドルだった点や、中国リスクの再認識が心理的な重しとなった可能性があります。

今後の注目ポイント:地政学リスクとブラックウェル拡大の両面に注視

今後の焦点は、中国との関係改善によるH20出荷の再開と、ブラックウェル・サーバー製品の商業展開の加速にあります。これらの要素が実現すれば、中長期的な業績と株価の押し上げ材料となります。

短期的には株価のボラティリティが高まりやすい状況にありますが、AI需要が継続する限り、エヌビディアの成長ストーリーに大きな変化はありません。

※前回記事はこちら → エヌビディア株が決算発表後に下落:好決算でも市場の期待に届かず

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