量子コンピューティングへの期待が高まる中、アメリカ・メリーランド州カレッジパークに拠点を置くイオンキュー(IONQ)は、新たな注目を集めています。B.ライリー証券のアナリストであるクレイグ・エリス氏は、同社の株式に対して「買い」評価を付与し、目標株価を61ドルに設定しました。これは、8月27日現在の株価(41.42ドル)から47%の上昇余地があることを示しています。
イオンキューの強み:経営陣と成長戦略
イオンキューは、経験豊富な経営陣のもとで急成長を遂げており、直近では2024年12月以降に4件の取引を完了し、さらに1件が進行中と報告されています。また、コンピューティング、ネットワーク、宇宙分野への能力強化も進めています。
2025年2月にCEOに就任したニコロ・デ・マシ氏は、以前同社の取締役会メンバーであり、イオンキューを上場に導いたSPACのディレクターも務めた人物です。さらに、IBMやJPモルガンで研究に携わった業界の重鎮、マルコ・ピストイア氏が7月に参加し、業界連携を担当しています。
知的財産と資金力で他社をリード
同社は1,000件を超える特許および出願中の技術を保有しており、量子コンピューティングとネットワーキングの両分野において広く深い専門知識を有していると評価されています。
また、直近の決算時点で16億ドルのプロフォーマキャッシュを保有しており、これは時価総額の約12%に相当します。この潤沢な資金により、2030年代後半までの黒字化に向けた道筋をしっかりと描ける体制にあると分析されています。
イオンキューの収益構造と将来性
イオンキューは、量子コンピューティングのパワーとハードウェア販売に加え、コンサルティングやサポートサービスでも収益を上げています。これら2つの収益源は明確に分かれており、2025年時点でコンサルティング関連が全体の約40%を占めています。
同社はクラウド経由で量子コンピュータを提供する「量子コンピューティング・アズ・ア・サービス(QCaaS)」にも注力しており、これは商用利用の拡大と開発者エコシステムの構築に理想的なモデルだと評価されています。
競合環境と市場シェア予測
B.ライリーは、イオンキューが今後、量子コンピューティング市場の15%〜40%を獲得する可能性があると予測しています。競合にはIBMやアルファベット(GOOGL)といった大手に加え、リゲッティ・コンピューティング(RGTI)やディーウェーブ・クオンタム(QBTS)などのピュアプレイ企業が含まれます。
リゲッティは、モンタナ州立大学と提携し、同大学にオンプレミスの量子コンピューターを提供するなど、学術分野との連携を進めています。また、米国防総省から約580万ドルの契約を獲得し、「ハイブリッド超伝導−光量子ネットワークノード」の研究を進めています。
市場評価と投資家の動向
ファクトセットによると、同社をカバーするアナリスト10人のうち6人がイオンキュー株を「買い」と評価しており、「売り」評価は2人にとどまっています。一方、リゲッティは8人全員が「買い」と評価しており、業界全体としても量子コンピューティングへの期待が高まっていることがうかがえます。
このように、イオンキューは技術力、経営陣、資本力の3点において競争優位性を確立しつつあり、量子コンピューティング分野で今後のリーダーとなる可能性を十分に秘めています。株価の成長性だけでなく、業界全体の構造変化に乗る戦略的なポジショニングにも注目です。
*過去記事「「量子のエヌビディア」を目指すイオンキューが10億ドル調達、新たな商業化ステージへ」
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