イーライ・リリー株が急伸、新型減量薬がノボ・ノルディスクに挑む

イーライ・リリー(LLY)の株価は、実験的な減量薬「オルフォグリプロン(orforglipron)」の新たな臨床試験データを発表したことで上昇しました。第3相試験では、2型糖尿病を持つ過体重または肥満の患者において最大10.5%の体重減少効果が確認されました。この結果は投資家の安心材料となり、株価は4%超の上昇を見せました。

試験結果の詳細

オルフォグリプロンは1日1回服用する経口薬で、72週間にわたる試験で以下の結果が得られました。

  • 最低用量:5.5%減
  • 中用量:7.8%減
  • 最高用量:10.5%減
    一方、プラセボ群では2.2%の減少にとどまりました。さらに血糖値は1.3~1.8%低下し、糖尿病治療薬としての効果も示されています。

糖尿病を持つ患者は減量が難しいとされているため、今回の結果は前回の肥満患者向け試験と比較して減量効果がやや小さくても、大きな懸念にはなっていません。

ノボ・ノルディスクとの競争

この結果は、ノボ・ノルディスク(NVO)の経口型GLP-1薬「セマグルチド(オゼンピック/ウゴービー)」と比較されることになります。アナリストは今回のイーライ・リリーの試験結果がノボ・ノルディスクのデータと同等であり、競争環境がさらに激化すると指摘しています。ノボ・ノルディスクは2025年第4四半期に経口版ウゴービーのFDA承認可否が決まる見込みです。

安全性と副作用

試験では、副作用によって10.6%の患者が治療を中断しました。主な副作用は吐き気、下痢、嘔吐など消化器系の問題でしたが、安全性は同社の注射薬「マンジャロ」「ゼップバウンド」と同程度とされました。注射薬よりも体重減少効果は小さいものの、経口薬は利便性が高く、冷蔵保存も不要なため世界的な普及が見込まれます。

株価の推移と投資家の視点

発表後、イーライ・リリーの株価は8月26日午前の米国市場で4.5%上昇し726.8ドルとなりました。一方でノボ・ノルディスクの米国預託証券(ADR)は2.7%下落しました。過去1年でイーライ・リリー株は24%下落、ノボ・ノルディスクは59%下落しており、両社とも大きな株価調整を経験しています。

アナリストはイーライ・リリーに対して「オーバーウェイト」の評価を維持し、目標株価を825ドルと設定しています。経口薬市場の拡大を背景に、GLP-1市場の主導権争いはさらに激しさを増しています。

*過去記事「イーライ・リリー経口肥満薬、効果は予想下回るも市場拡大に期待

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