米メディア「バロンズ」は、オープンAIのサム・アルトマン氏がAI市場について「バブルの様相を呈している」と語ったことを紹介しています。AIは間違いなく重要な技術である一方で、投資家の期待が過熱している可能性があるという指摘です。
高騰するテック株とS&P500の構造
記事によると、S&P500の時価総額は54.67兆ドルに達し、そのうちマグニフィセント7が36%を占めています。2025年の年初来上昇分の約43%をこの7銘柄が牽引しており、AI関連投資が株価を押し上げている構図です。
アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、エヌビディア(NVDA)、アマゾン(AMZN)、メタ(META)などの大手テック株は、予想利益に対する株価倍率(PER)が過去平均を上回っており、特にテスラ(TSLA)は151倍と際立った水準にあります。加えてネットフリックス(NFLX)やオラクル(ORCL)、ブロードコム(AVGO)といった他のテック銘柄も高い評価を受けています。
バブル懸念と経済環境の不透明さ
アルトマン氏は「AIは長い間で最も重要な出来事だが、投資家の熱狂は行き過ぎている」と語っています。背景には、7月の米雇用統計の弱さやインフレの加速、トランプ大統領の関税政策といった経済的リスクも存在します。これにより、過大評価されているテック株が調整に入る可能性が指摘されています。
インタラクティブ・ブローカーズのスティーブ・ソスニック氏は「高値圏にある限られた銘柄に資金が集中しすぎると、売りが殺到したときに市場の混乱を招くリスクがある」と警告しました。
強気派の見解
一方で、すべての専門家が悲観的なわけではありません。トレジャリー・パートナーズのリチャード・サパースタイン氏は「大手テック株は引き続き市場をけん引し、再投資とグローバルな事業拡大が成長を支える」と楽観的な見通しを示しています。規制緩和や設備投資も追い風となり、株式市場全体に成長効果をもたらすとの見方です。
まとめ
AI関連株は市場の中心であり続けていますが、その評価水準は割高感を伴っています。アルトマン氏が指摘する「バブル懸念」と、ウォール街の「成長期待」がせめぎ合う中、投資家は経済環境や政策リスクを踏まえた慎重な判断が求められそうです。
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