ノボ・ノルディスク株が急伸!減量薬ウゴービに新たな適応承認

  • 2025年8月18日
  • 2025年8月18日
  • BS余話

米国時間2025年8月18日、ノボ・ノルディスク(NVO)が上昇しました。同社の減量薬「ウゴービ(Wegovy)」が、非肝硬変の代謝機能障害関連脂肪性肝炎(MASH)で肝線維化を伴う成人の治療薬として米食品医薬品局(FDA)に承認されたことが材料になっています。コペンハーゲン市場では株価が5.7%上昇し、米国預託証券もプレマーケットで堅調に推移しています。

今回の承認のポイント

ノボ・ノルディスク(NVO)は、GLP-1作動薬セマグルチドを減量薬「ウゴービ」、糖尿病治療薬「オゼンピック(Ozempic)」として展開しています。今回、新たにMASH(非肝硬変)への適応が追加されました。MASHは肝内の脂肪蓄積や炎症、組織損傷を特徴とする疾患で、米国成人の約5%に影響があると推定されています。適応拡大により、体重管理・心血管リスク低減に続く第三の効果領域が明確になりました。

競合環境とポジショニング

GLP-1市場はこの数年で急拡大していますが、イーライ・リリー(LLY)の台頭や、ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)といった遠隔医療プラットフォームによる低価格の代替提供など、競争は激しくなっています。こうした中で、MASHにおける「初のGLP-1承認」という差別化要素は、同社の製品ポートフォリオに新たな訴求点を加えます。

株式市場の反応

コペンハーゲン市場でノボ・ノルディスクは5.7%上昇しました。米国の預託証券は記事執筆時点のプレマーケットで約4%高となりました。一方、イーライ・リリーは小幅安での推移となりました。適応拡大による潜在市場の拡大期待が先行したかたちです。

経営陣とアナリストの見方

同社の研究開発トップは、MASH適応によりウゴービが「唯一のGLP-1」として位置づけられる点を強調しています。市場では、年初以降のガイダンス下方修正や代替調剤の拡大で劣勢と見られる局面もありましたが、今回の承認がモメンタムを押し上げる可能性があります。BMOのエバン・セイガーマン氏は、同社株を「マーケットパフォーム」としつつ、50ドルの目標株価を提示し、モメンタムの変化に言及しています。

投資家が注目すべきポイント

  • 適応拡大による売上成長ドライバーの多様化
  • GLP-1領域での差別化要素の強化(MASHでの先行)
  • サプライや価格、保険償還、競合動向の継続的なモニタリングの必要性
  • 遠隔医療プラットフォームによる価格圧力とブランド・適応の優位性のせめぎ合い

MASHとは何か(要点)

MASHは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積し、炎症や組織の損傷が進む疾患です。非肝硬変ステージでの治療介入は、将来的な肝機能悪化リスクの抑制につながる可能性があります。今回の承認で、体重管理・血糖コントロールを超える臨床価値が明示されました。

まとめ

ノボ・ノルディスクは、MASH適応の追加でGLP-1戦略の幅をさらに広げました。競争が激しいなかでも、適応拡大という実績が新たな需要を喚起する可能性があります。今後は、供給体制、保険償還、競合の追随状況を見極めながら、売上の持続的な伸びにつながるかが焦点になります。

*過去記事「ノボ・ノルディスク株に追い風?イーライ・リリーの英国値上げが示す新展開

🎧この記事の内容は音声でもお楽しみいただけます。コメンテーター二人のやり取りで分かりやすく解説していますので、ぜひご利用ください。👇

最新情報をチェックしよう!