2025年のアメリカでは、物価上昇や関税、税制変更といった経済の不確実性が続いています。しかし、こうした不透明な環境にもかかわらず、米国民の旅行意欲は依然として高く、旅行関連企業が恩恵を受けていると報じられています。
消費者マインドが改善、7月の旅行需要が堅調
ゴードン・ハスケットのアナリスト、ロバート・モリンズ氏によると、2025年第2四半期から7月にかけて、消費者マインドが改善。多くの旅行関連企業がポジティブな見通しを語っており、特に7月の需要の強さが目立ちます。
また、関税や税金に関する政策がある程度明確になったことで、消費者の不安がやや和らいだことも背景にあるようです。
高所得者層が旅行を優先、贅沢志向が鮮明に
オンライン旅行代理店(OTA)大手のブッキング・ホールディングス(BKNG)やエクスペディア(EXPE)は、高所得層によるラグジュアリーホテルや海外旅行への支出が拡大していると報告。ホテル業界でも高級宿泊施設の売上が伸びており、航空会社ではプレミアムシートの需要が堅調です。
ただし、OTAやホテルの多くは米国市場では他地域よりも低調であるとの声もあり、マリオット(MAR)などは年内もその傾向が続くと予想しています。
予約タイミングが前倒しに、利益予測の精度向上へ
経済不安の影響で、旅行予約は直前に行われる傾向がありましたが、最近では出発前の予約リードタイムが伸びてきており、旅行会社にとっては利益予測が立てやすくなるポジティブな傾向が見られます。
政策の安定と株高が旅行業界に好影響
アメリカでは税制・支出法案の成立や貿易合意の進展が見られ、S&P500やナスダック総合指数も高水準で推移しています。これにより消費者の経済的な安心感が高まり、旅行への支出が活発になっているとの見方も出ています。
欧州からの旅行者の増加も支えに
米国人の支出には慎重な傾向がある一方で、欧州からの旅行者による需要が全体を支える形になっています。ヒルトン(HLT)やIHG(IHG)などのホテル企業も、中長期的には米国市場の回復に期待を寄せています。
航空・クルーズ業界にも好調の兆し
デルタ航空(DAL)やユナイテッド航空(UAL)は、これまでの不透明な環境から一転、楽観的な見通しを発表。アメリカン航空(AAL)やアラスカ航空(ALK)の経営陣も、消費者マインドの改善傾向に言及しています。
クルーズ業界では、ロイヤル・カリビアン(RCL)が「高い雇用環境、高賃金、余剰貯蓄、そして資産効果」により顧客の旅行意欲が強まっていると述べています。
ポスト・コロナ時代の「旅行の新常識」
パンデミック後の「リベンジ旅行」ブームが一段落した今、人々はレジャー体験への支出を生活の一部として定着させつつあります。メリウス・リサーチのアナリスト、コナー・カニンガム氏は、旅行需要の長期的な成長に注目しています。
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