パロアルトネットワークス株急伸、パイパーサンドラーが「買い」に格上げ

  • 2025年8月13日
  • 2025年8月13日
  • BS余話

米サイバーセキュリティ大手パロアルトネットワークス(PANW)の株価が8月12日の米国市場で上昇しました。背景には、パイパーサンドラーのアナリスト、ロブ・D・オーウェンズ氏が同社株の投資判断を「ニュートラル」から「オーバーウェイト(買い推奨)」へ引き上げ、目標株価を200ドルから225ドルへ引き上げたことがあります。8月18日に予定されている同社の第4四半期決算発表を前に、投資家心理を後押しする動きとなりました。

サイバーアーク買収とプラットフォーム戦略

パロアルトネットワークスは7月末にサイバーアーク・ソフトウェア(CYBR)の買収を発表しました。買収額は約250億ドルで、市場では高額との見方もありますが、オーウェンズ氏はこれを否定しています。両社の製品には重複がなく、買収後にはクロスセル(相互販売)の機会が広がるとし、2028年度までに1株当たり利益やフリーキャッシュフローの増加に寄与すると予想しています。

しかし、今回の格上げの主因は買収ではなく、同社が推進している「プラットフォーム化戦略」にあります。これは複数のセキュリティ製品を一体化したプラットフォームとして提供するもので、単体製品よりも高い付加価値を生み、契約件数や売上拡大につなげる狙いがあります。

成長余地の大きい市場での優位性

ガートナーのデータによると、サイバーセキュリティ市場はソフトウェア業界の中でも集中度が低く、上位5社の市場シェアは26%にとどまります。オーウェンズ氏は、幅広い製品群を持つパロアルトネットワークスが業界再編の中心的存在になり得ると見ています。

同社はすでにプラットフォーム化の成果を示しており、契約件数は前年の900件から直近四半期には1,250件へ増加しています。短期的な売上成長や市場シェアの急拡大はまだ見られないものの、中長期的には成長加速が期待されるとしています。

キャッシュフロー改善への期待

過去2年間で営業利益率は改善している一方、フリーキャッシュフロー率はやや低下していました。これは複数年契約の前払いから分割払いへの移行によるもので、2026年度以降は回収加速により改善が見込まれるとしています。

パイパーサンドラーは、同社が戦略を着実に実行できれば長期的な投資リターンが期待できると評価しています。投資家にとっては、成長ストーリーを信じて保有を続けられるかが鍵となりそうです。

*過去記事「パロアルトがサイバーアークを250億ドルで買収!狙いはAI時代のID管理

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