米国の原子力スタートアップ企業オクロ(OKLO)の株価が8月12日の米国市場で上昇しました。終値は9.2%高の78.47ドルとなっています。前日の市場終了後に発表された第2四半期決算と、米エネルギー省による重要発表が株価を押し上げる要因となりました。
第2四半期決算は赤字幅縮小
オクロは第2四半期の純損失が2,470万ドル(1株あたり18セント)で、前年同期の2,730万ドル(同27セント)から赤字幅が縮小しました。経営陣はキャッシュバーンが想定内であるとし、商業運転開始時期については2027年末から2028年初頭を目指す方針を再確認しました。
CEOのジェイコブ・デウィット氏は決算説明会で「原子力は米国のエネルギーの未来に不可欠との認識が高まっていますが、これまでコストや時間的遅延が障害となってきました。当社は設計とコスト管理を徹底して進めてきたことが強みです」と語りました。
米エネルギー省のパイロットプログラムに選定
決算発表直後は投資家が初の原発稼働時期の明確化を待つ姿勢から株価は下落しましたが、その後、米エネルギー省がオクロを含む11社を原子炉パイロットプログラムの参加企業として選定したことが明らかになり、株価は反発しました。
このプログラムは、2025年5月の大統領令に基づき創設され、2026年7月までに少なくとも3基の原子炉を米国の国立研究所で稼働させることを目指しています。これはオクロ自身の計画よりも少なくとも1年早いスケジュールです。
アナリストの評価と政権との関係
ウェドブッシュ証券はオクロ株の「アウトパフォーム」評価を継続し、目標株価を75ドルから80ドルに引き上げました。同社のアナリスト、ダン・アイブス氏らは、トランプ政権が原子力発電を強く支持していることから、オクロが大きな恩恵を受けると指摘しています。
オクロは政権との関係も深く、元取締役のクリス・ライト氏は今年2月に米国エネルギー長官に就任し、デウィットCEOも大統領とともにホワイトハウスで原子力推進の大統領令署名式に出席しています。
事業モデルと市場評価
オクロは自社で原子力発電所を建設・所有・運営するビジネスモデルを採用しています。このモデルに対してはウォール街でも評価が高く、ファクトセットによるとオクロをカバーする14社のアナリストのうち10社が「買い」、3社が「ホールド」、1社が「売り」と評価しています。
ただし、同社はまだ利益を計上しておらず、最初の原子力発電所であるアイダホ国立研究所でのプロジェクトは承認手続きの途上にあります。先月には米原子力規制委員会への統合ライセンス申請の第1フェーズに向けた事前準備評価を完了し、年内に最終申請を行う予定です。
株価パフォーマンス
オクロの株価は2025年に入り約270%上昇しています。足元では承認手続きやプロジェクト進捗への懸念もあるものの、米政府の支援や市場の期待感が株価を押し上げています。
*過去記事「オクロとバーティブが提携!AIデータセンターに核の力を」
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