米ニュージャージー州年金基金、アリババ株をすべて売却、量子コンピューティング関連株へシフト

  • 2025年8月11日
  • 2025年8月11日
  • BS余話

米メディア「バロンズ」によると、米ニュージャージー州の公的年金基金が2025年第2四半期にアリババ・グループの米国預託証券(Alibaba ADR)を全株売却し、代わりに量子コンピューティング企業への新規投資を行いました。具体的には、ディーウェーブ・クオンタム(QBTS)およびリゲッティ・コンピューティング(RGTI)の株を新たに取得し、既に保有していたイオンキュー(IONQ)株もさらに購入しています。運用資産総額は約700億ドルとされています。

投資対象3社の状況と動向

  • ディーウェーブ・クオンタム(QBTS)
    商用利用を重視する姿勢で知られる同社は、第1四半期に「量子超越(quantum supremacy)」を達成したと主張しています。年初から6月までに株価は約74%上昇し、第3四半期もさらなる上昇を見せています。
  • リゲッティ・コンピューティング(RGTI)
    研究開発を重視する企業で、年初~第2四半期にかけて株価は約22%下落しましたが、第3四半期に大幅回復を見せ、株価は30%程度上昇しています。
  • イオンキュー(IONQ)
    6月に英国のオックスフォード・イオニクス(Oxford Ionics)を約10.75億ドルで買収する計画を発表しており、年初~6月期の株価は約2.9%上昇しました。ただ、第3四半期にかけては若干の調整が見られます。

背景と注目点

このポートフォリオの組み替えは、成長期待の高い量子コンピューティング分野へ注力する戦略とみられます。ディーウェーブ・クオンタムとイオンキューはいずれも直近決算で売上増を報告しており、ただし損失も続いている状況です。今後の課題は、これらの企業が収益化の進展をどれほど加速できるかにあります。

量子コンピューティングはまだ黎明期にあり、各社の戦略や技術進化によって投資成果に大きな差が出る可能性が高いと見られています。今回のニュージャージー州年金基金の動きは、長期視点に基づいた投資判断の一例として注目されます。

*過去記事「ディーウェーブ・クオンタム株が急騰!カナコードが「買い」評価と目標株価20ドル


🎧この記事の内容は音声でもお楽しみいただけます。コメンテーター二人のやり取りで分かりやすく解説していますので、ぜひご利用ください。👇

最新情報をチェックしよう!