アマゾンの影が迫るトレードデスク株、過去最大の下落か

米広告テクノロジー企業トレードデスク(TTD)の株価が、2025年8月8日の取引で急落し、一時38%以上の下げ幅となりました。もしこの下落率が終値まで続けば、同社にとって過去最大の下落となります。背景には、アマゾン(AMZN)の広告事業拡大による競争激化があると市場では見られています。

アマゾンの広告分野での台頭

アマゾンはプライム・ビデオを含むコネクテッドTV広告分野で存在感を強めており、自社の需要側プラットフォーム(DSP)を通じて、従来は限定的だったプレミアム広告枠を開放しています。これにより、広告主の一部はアマゾンの提供する広告ソリューションに魅力を感じ始めているとの指摘があります。

アナリストによる評価引き下げ

モフェットナサンソンのアナリストは、成長が新規参入企業(アマゾン、ネットフリックス、ディズニープラス)にシフトしていると分析し、トレードデスク株を中立から売りに格下げしました。また、ウェドブッシュ証券も、競争の激化による長期的成長鈍化の懸念や投資負担増を理由に、株式評価を引き下げています。

収益性への影響懸念

トレードデスクは新たな成長分野に向けた積極投資を進めていますが、その結果として今年の調整後EBITDAマージンは縮小する見通しです。昨年は拡大していた利益率が反転する可能性があり、市場心理を冷やす一因となっています。

CEOの反論と独立性の強調

決算説明会でジェフ・グリーンCEOは、アマゾンは競合というより一部の部門での重なりに過ぎないと述べました。また、アマゾンが多くの大手広告主と本業で競合している点を挙げ、独立系DSPであるトレードデスクの中立性と柔軟性が広告主にとって重要だと強調しました。


このニュースは、広告テクノロジー市場における競争環境の変化と、成長の持続性に対する投資家の見方を映し出しています。特にアマゾンの動きが今後どこまでトレードデスクに影響を与えるのか、引き続き注目が集まりそうです。

*過去記事「トレードデスク株が29%急落!決算後の市場反応とその背景

🎧この記事の内容は音声でもお楽しみいただけます。コメンテーター二人のやり取りで分かりやすく解説していますので、ぜひご利用ください。👇

最新情報をチェックしよう!