ニュースレター配信サービス「Beehiiv(ビーハイヴ)」は、2021年にビジネスメディア「Morning Brew」の元エンジニアらによって創業されたプラットフォームです。誰でも簡単にメールマガジンを作成・配信でき、加えて独自ドメインでのWebサイト運営、分析機能、収益化の仕組みなどを備えています。テンプレートのカスタマイズ性が高く、ブランド構築を重視するクリエイターに支持されています。
2025年8月2日にテック系メディア「The Information」が報じた記事では、BeehiivがSubstackに代わる有力な選択肢として注目を集めていることが紹介されました。
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有名ジャーナリストも続々とBeehiivに移行
CNNを離れたオリバー・ダーシー氏が2024年に立ち上げたニュースレター「Status」は、Beehiivを使って85,000人の購読者を獲得。一部の有料読者からの収益により、年100万ドル超の売上が見込まれる状況です。
その他にも、WSJのジョアンナ・スターン氏やワシントン・ポストのデイブ・ジョーゲンソン氏など、有名メディア出身者が続々とBeehiivを採用。タイム誌やThe Skimmなどのニュースメディアも同様に参入しています。
カスタマイズ性と「ブランド構築」を重視する設計
Beehiivの強みは、Squarespaceのようなウェブサイト機能と、ホワイトラベル型のニュースレター管理機能を統合している点にあります。Substackがテンプレートの制約やソーシャル要素を強めているのに対し、Beehiivはあくまで「発信者のブランド構築」にフォーカスしています。
Substackの共同創業者ハミッシュ・マッケンジー氏さえも、Beehiiv上でコラムを寄稿するなど、業界内での存在感は急速に高まっています。
ビジネスモデルの違いと成長の軌跡
Substackが収益の10%を手数料として徴収するのに対し、Beehiivは月額固定料金制(例:1,000人まで43ドル)を採用。この「クリエイターに優しい」価格体系が受け入れられ、2025年には年商3,000万ドルのペースに達しました。
創業者でCEOのタイラー・デンク氏によると、Beehiivはニュースレターではなく「独立メディアブランドを構築するためのプラットフォーム」であり、ショッピファイ(SHOP)のような位置づけを狙っています。
ジャーナリスト支援の取り組み「Media Collective」
Beehiivは独立系ジャーナリストの支援を目的に、2024年に「Media Collective」を開始。法務サポートやGetty Imagesの利用権、AIツールへのアクセスを提供するほか、一定期間の生活支援金も用意されています。
この取り組みによって、Substackからの移行を決断するジャーナリストも増え、Beehiivのメディア支援の姿勢が業界内で高く評価されています。
「ニュースレターは終わった」の声に反論
ニュースレター市場が飽和状態にあるとの声もあるなかで、Beehiivの利用者数は着実に増加。記事内では「メールのピークは2019年」との見方に対し、創業者のデンク氏は「まだ成長余地は大きい」と語っています。
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