フィグマ上場の成功がIPO市場を刺激、キャンバやデータブリックスも続くか

2025年8月、デザインソフトウェア企業フィグマ(FIG)が上場初日に株価を3倍以上に伸ばすという歴史的な成功を収めたことで、IPO市場が一気に活性化する可能性が浮上しています。米メディア「マーケットウォッチ」は、この急騰が他の未上場ソフトウェア企業にとっても追い風になるとの見方を伝えています。

次に上場するのはキャンバかデータブリックスか

D.A.デビッドソンのテクノロジー調査責任者ギル・ルリア氏は、今後12ヶ月の間に多くのソフトウェア企業がIPOを目指すだろうと述べています。特に注目されるのが、オーストラリア発のデザインツール企業キャンバ(Canva)と、データ分析企業データブリックス(Databricks)です。

キャンバは、上場を示唆する発言を過去にCEOのメラニー・パーキンス氏が行っており、2024年にはZoomのCFOだったケリー・ステッケルバーグ氏を財務責任者として迎えています。これは上場準備の一環と見る向きもあります。

一方のデータブリックスは、ルリア氏が「最も上場が近い企業」と表現しており、IPO実現への期待が高まっています。

その他の注目企業:Celonis、Deel、Genesys、Klarna

IPO候補として挙げられているその他の企業には、業務プロセス最適化ソフトを提供するセロニス(Celonis)、給与処理ソフトのディール(Deel)、AI活用の顧客対応ソフトを開発するジェネシス(Genesys)などがあります。

ジェネシスは2025年8月に、セールスフォース(CRM)およびサービスナウ(NOW)から合計15億ドルの出資を受けたばかりで、市場からの注目度が高まっています。また、フィンテック企業クラーナ(Klarna)はすでにIPO申請を提出済みですが、まだ公開日程は決まっていません。

時価総額トップの未上場企業とIPO市場の変化

現在の未上場企業の中で最も高い評価額を持つのはスペースX(約4080億ドル)で、次いでバイトダンス、オープンAI、ストライプ、xAI、アンソロピックなどが続きます。

これらの企業の多くは、過去数年のIPO市場の低迷を受けて機関投資家からのプライベート資金で成長してきました。しかし、投資家はリターンを求めており、IPO市場が好調な今、上場への動きが加速する可能性があります。

フィグマは今回の上場で12億ドルを調達し、時価総額は初日終値で約676億ドルに達しました。売却株主には、クライナーパーキンスやセコイアキャピタルといった著名VCの名前も並びます。

変動が激しい市場環境で、今が上場のチャンスか

ただし、米経済や貿易問題に対する懸念がくすぶる中で、市場の変動性が高まれば再びIPOウィンドウが閉じる可能性もあります。そうなる前に上場を決断しようとする企業が増える可能性は十分にあるといえそうです。


このように、フィグマのIPO成功を契機に、複数の有力スタートアップが上場を視野に入れていることが明らかになってきました。IPO市場の動向は、今後の米国株投資においても注目すべきテーマとなりそうです。

*過去記事「IPO市場が熱狂!2025年夏、注目の米新興企業を総まとめ

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