技術の壁と葛藤、それでも進化するChatGPT-5の実力とは

  • 2025年8月3日
  • 2025年8月3日
  • BS余話

2025年8月1日付の米メディア「The Information」は、オープンAIが次世代AIモデル「GPT-5」の開発において直面した数々の課題と、その乗り越え方を詳しく報じました。この記事では、AI業界全体の進化が鈍化しつつあるという背景の中で、オープンAIがどのようにして進展を図っているのかが語られています。

GPT-5の性能は着実に向上、しかし過去ほどの飛躍はなし

GPT-5は、前モデルよりも実用的なプログラミングや数学の課題に対する精度が高くなっているといいます。特に、コードの見た目やユーザビリティに関する最適化、複雑な指示に基づいたエージェントの動作といった点で強化されています。ただし、GPT-3からGPT-4への進化ほどの劇的な向上は見られないとのことです。

開発中に浮上した技術的問題と社内の混乱

2024年後半に開発されていたモデル「Orion」は、当初GPT-5として発表される予定でしたが、期待に応える性能には至らず「GPT-4.5」としてリリースされました。この背景には、前処理(プリトレーニング)段階でのデータ不足や、モデルのサイズ拡張による効果の減少といった問題があったとされています。

また、社内では人事面の混乱もありました。メタがオープンAIから複数の研究者を引き抜いたことで、組織再編が必要となり、Slack上では幹部間の意見対立も見られたそうです。

推論モデルと強化学習が進化のカギに

オープンAIは、2023年末に発表された数学推論モデル「Q*」の応用として、o1およびo3と呼ばれる推論特化型モデルを開発しました。o3はエヌビディア製GPUサーバーの大規模活用や、Web検索・コード検索能力の追加によって向上が見られましたが、チャット型へ変換するとその性能が大幅に低下したとも報じられています。

この「人間との対話に最適化される過程」で、AI本来の推論能力が削がれてしまうことが、オープンAI内部でも課題として認識されているようです。

汎用的な品質判定システム「ユニバーサル・ベリファイア」

オープンAIは最近、「ユニバーサル・ベリファイア」と呼ばれる仕組みを開発し、モデルの出力結果を別のLLMがチェックするというアプローチを採用しているそうです。この手法は、正解が定義しやすい分野(プログラミングなど)だけでなく、創作的なジャンルにも応用可能とされ、GPT-5の性能向上に寄与していると伝えられています。

AGIへの道と今後の展望

CEOのサム・アルトマン氏は最近のポッドキャストで「GPT-5はほぼすべての点で我々より賢い」と発言しており、大きな期待を示しています。また、オープンAI内部ではすでに「GPT-8」にまで視野を向けた話も出ているようです。

ただし、記事では、今後もオープンAIが競合他社(Google、アンソロピック、xAIなど)に対して優位性を保てるかは不透明であり、技術的進展のペース次第だと指摘されています。

まとめ

The Informationによると、GPT-5は前モデルと比べて明確な改善点を持ちながらも、AI進化の「壁」に直面した結果生まれた産物とも言えそうです。今後のオープンAIの開発戦略や研究体制の強化が、AGI(汎用人工知能)実現に向けた鍵を握ることになりそうです。

*過去記事「GPT-5登場間近?オープンAIの最新モデルがコーディングで大進化!

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