パロアルトがサイバーアークを250億ドルで買収!狙いはAI時代のID管理

  • 2025年7月31日
  • 2025年7月31日
  • BS余話

2025年7月30日、サイバーセキュリティ大手のパロアルトネットワークス(PANW)は、アイデンティティ分野の強化を目的にサイバーアーク・ソフトウェア(CYBR)を買収する方針を発表しました。買収総額は現金と株式を合わせて250億ドルに達する見通しです。

アイデンティティ・セキュリティへの本格参入

パロアルトネットワークスは今回の取引について、「アイデンティティ・セキュリティへの正式な参入」と位置付けており、同社のマルチプラットフォーム戦略の中核になると説明しています。AI時代の到来により、従業員だけでなくAIシステムそのものへのアクセス制御が求められていることから、アイデンティティ管理の重要性が一層高まっているといいます。

CEOのニケシュ・アローラ氏は、「市場の転換点を見極めて参入してきたが、アイデンティティ・セキュリティもまさにそのタイミングにある」と述べています。

過去最大規模の買収

今回の買収は、現金45ドルとパロアルトネットワークス株2.2005株を1株あたりの対価としてサイバーアーク株主に提示する内容です。これによりサイバーアークの企業価値は約250億ドルと評価され、これはパロアルトが過去15年間に実施した全買収の総額を大きく上回る規模だと指摘されています。

この発表を受けて、パロアルトネットワークスの株価は発表前日に5.2%下落し、発表当日の30日にはさらに5.6%下落しました。

AI環境のセキュリティ強化を目指す

市場関係者の間では、この買収がAIによる新たな攻撃対象領域(アタックサーフェス)を守るというパロアルトの戦略に沿ったものであるとの見方もあります。アナリストは、サイバーアークの技術がパロアルトの既存製品群に統合されれば、AI環境を包括的に守るプラットフォームとしての完成度がさらに高まると評価しています。

また、直近で同社が買収したProtectAIとの組み合わせにより、AIのアクセス管理や監視機能をさらに強化できる可能性も指摘されています。

アイデンティティ分野への期待と慎重な見方

サイバーアークは2024年に約10億ドルの売上を計上しており、すでに確立された技術力と顧客基盤を有しています。一方で、アイデンティティ分野のAIによる成長加速には時間がかかるとの慎重な意見もあり、今回の買収がすぐに業績へ貢献するかどうかについては見方が分かれています。

まとめ

今回の買収は、パロアルトネットワークスがサイバーセキュリティの総合プラットフォーム企業としての地位を強化する上で、大きな一歩となりそうです。AIとアイデンティティの融合が今後のセキュリティにおいて不可欠になる中、今回の動きはその先取りとも言えるかもしれません。

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