2025年7月31日に予定されているアマゾン(AMZN)の第2四半期決算に注目が集まっています。市場予想では、1株当たり利益が1.33ドル、売上が1,620億ドルとなっており、前年同期比で10%の成長と見られています。
とくに注目されているのは、アマゾンの中核事業であるクラウド部門「Amazon Web Services(AWS)」です。AWSの売上はアマゾン全体の20%未満にとどまる一方で、営業利益の約60%を占める重要なセグメントです。AI需要の高まりを背景に、AWSは前年比17%の成長が見込まれ、利益成長も同様の水準になると予想されています。
AI向けクラウド需要に対応する巨額投資
アマゾンはAIデータセンターの拡充に向け、2025年に1,000億ドル以上の設備投資を計画しています。これは、AIクラウド需要が供給を上回っている状況に対応するためのもので、同様の投資姿勢はメタ・プラットフォームズ(META)やアルファベット(GOOGL)にも見られます。これらの投資は将来的な成長に向けた前向きな動きである一方、減価償却費の増加によってAWSの営業利益率に影響が出る可能性もあり、アナリストはその点を注視しています。
小売や広告、サブスクも堅調
AWS以外の売上は、主に小売事業から構成されています。オンラインおよび実店舗、サードパーティー販売の合計で1,030億ドルと、こちらも前年比7%増となる見込みです。成熟したビジネスでありながら堅実な成長を維持している点は、アマゾンのブランド力の強さを示しています。
さらに、成長ドライバーとなっているのが広告とサブスクリプションです。2025年第2四半期にはこの2つの合計売上が270億ドルに達すると見込まれ、広告は17%増、サブスクリプションは14%増というペースで伸びています。
関税が業績見通しの重しに?
一方で懸念材料となっているのが、トランプ政権による対中関税の引き上げです。第2四半期の段階では、関税率の上昇は業績に大きな影響を与えていないと見られますが、4月以降にかけて平均関税率が2.4%から6%、8%、6月には10%へと上昇しており、第3四半期以降に本格的な影響が出てくると予想されています。
こうしたコスト上昇は、アマゾンの小売事業における売上総利益率や営業利益ガイダンスにネガティブな影響を及ぼす可能性があり、決算発表後の株価には警戒が必要です。
今後の焦点はガイダンスとマージン
決算発表では、AWSの成長とともに、広告やサブスクの売上動向、そして関税がコスト構造に与える影響に注目が集まりそうです。強い決算が出たとしても、関税リスクを織り込んだ慎重なガイダンスが示されれば、株価の反応は限定的になる可能性もあります。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN