【7月31日決算】アップルの勝負所はAI?アナリストは慎重姿勢

米投資メディア「バロンズ」は、アップル(AAPL)の第3四半期決算を7月31日に控える中で、投資家に慎重な姿勢を呼びかけるアナリストの見解を紹介しています。

株価の低迷とAI戦略の遅れ

2025年に入り、S&P500指数が約8.5%上昇する中で、アップル株は14%の下落を記録しています。背景には複数の要因がありますが、最大の懸念点は生成AI戦略の遅れにあると、ニーダムのアナリストであるローラ・マーティン氏は指摘しています。

マーティン氏は「アップルが明確な生成AI戦略と実行計画を示さないまま、傍観者であり続けることはできない」とし、同社株を「ホールド(中立)」と評価しています。

貿易政策の影響も逆風に

アップルのiPhone製造は中国に大きく依存しており、トランプ大統領による新たな関税政策が利益率を圧迫しています。ティム・クックCEOは、6月期における追加コストが9億ドルに達するとの見通しを以前の決算説明会で明らかにしました。アップルはこの影響を避けるため、インドなど他国での生産体制強化を進めています。

iPhone需要への不安も

iPhoneはアップルの売上の約半分を占めており、前四半期には468億ドルの売上を記録しました。しかし、関税による価格上昇が消費者の購買意欲を削ぐ可能性があり、需要減退への懸念も浮上しています。

決算で注目されるポイントはAIと設備投資

かつて期待された「Apple Intelligence」を軸にしたiPhoneの買い替え需要は、現時点ではまだ表れていません。マーティン氏は、決算発表でアップルがAI関連の方針を明確にし、データセンターやサーバーなどへの設備投資計画を引き上げると予想しています。

また、アンソロピックなどのAIスタートアップとの大型ライセンス契約が発表される可能性にも言及しています。しかし、こうした内容が市場の期待に届かなければ、株価には逆風となるおそれもあります。

現在の株価バリュエーションにも注意

アップル株は現在、今後12カ月の予想利益に対して28倍というバリュエーションで取引されています。これは過去5年の平均である27倍を上回り、S&P500の平均(22倍)よりも高水準です。

決算で発表される内容が「変革的」と言えるほどのインパクトを持たない場合、株価には調整圧力がかかる可能性もあります。投資家としては、発表内容の一つひとつに注意を払う必要がありそうです。

*過去記事はこちら アップル AAPL

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