量子コンピューティング企業ディーウェーブ・クオンタム(QBTS)が、カナコード・ジェニュイティのアナリストから新たに「買い」評価を獲得しました。2025年7月23日、同社の株価は15.46%上昇し、終値は20.31ドルとなりました。アナリストのキングスリー・クレイン氏は、ディーウェーブ・クオンタムの目標株価を20ドルと設定し、同社の将来性に注目しています。
株価は12か月で1,800%超の急騰
ディーウェーブ・クオンタムの株価は22日の段階で、過去1年間で1,851%の上昇を記録しています。2025年に入ってからだけでも128%の上昇と、量子コンピューティング分野への期待感の高まりが見て取れます。同業のリゲッティ・コンピューティング(RGTI)も類似の急騰を経験しており、投資家の関心が一層強まっています。
アニーリング方式で差別化、物理システムの販売も進展
ディーウェーブ・クオンタムは、一般的なゲート型量子コンピューターとは異なり、「量子アニーリング」と呼ばれる方式を採用しています。これは、量子物理を使って問題の最適解に近い「低エネルギー状態」を見つけ出す手法で、材料シミュレーションなど特定の用途で優れた性能を発揮しています。
最近では、ディーウェーブ・クオンタムのAdvantage2システムが、世界でも有数のスーパーコンピューターを上回る成果を上げたという査読付き論文も発表されました。さらに、クラウド経由の量子サービスだけでなく、物理システムの販売にも成功しており、2024年第4四半期には1,800万ドルの受注を記録しています。
顧客基盤と経営陣にも強み
クレイン氏は、ディーウェーブ・クオンタムの顧客基盤と経営陣にも注目しています。日本のNTTドコモやカナダのPattison Food Groupなど、具体的な商用顧客を持っており、「既に顧客の課題解決に貢献し、収益を上げている点が魅力的」と述べています。
また、CEOのアラン・バラッツ氏と開発責任者のトレバー・ランティング氏は、長年の研究開発で培った技術力を武器に、商用化のフェーズに入った量子技術の成長を主導すると評価されています。
市場全体の動きと今後の展望
同じ日に、量子コンピューティング企業イオンキュー(IONQ)は、オーストラリア企業との提携を発表し、株価を1%押し上げました。量子分野ではグローバルな連携も進んでおり、ディーウェーブ・クオンタムにとっても追い風となる可能性があります。
ディーウェーブ・クオンタムは、現時点で利益を出していない企業でありながら、同社をカバーする全8社のアナリストが「買い」評価を与えている注目株です。量子アニーリングという独自の技術、商用実績、そして研究開発への継続的な投資が、今後の成長への期待を高めています。今後もこの分野の動向に注視する価値がありそうです。