2025年7月22日付の米メディア「マーケットウォッチ」は、安定したフリーキャッシュフロー(FCF)を背景に、今後も配当を維持・増配できる可能性が高い米国株10銘柄を紹介しました。今回はその内容をもとに、投資家にとって魅力的な高配当銘柄を取り上げます。
高配当=リスクではない?キャッシュフローに注目
高い配当利回りをうたう銘柄には、「将来減配のリスクがあるのでは」と懸念する投資家も少なくありません。実際、利回りが極端に高い場合は、市場がその企業の将来性に懸念を抱いているサインとも受け取れます。
しかし、マーケットウォッチは今回、単に配当利回りだけを見るのではなく、「配当利回り」と「FCF利回り」を比較することで、企業の配当余力を評価しています。FCFとは、設備投資などを差し引いた後に残る現金の流れであり、配当や自社株買い、成長投資などに充てられる原資となります。
FCF利回りが配当利回りを大きく上回る企業を選定
調査では、S&Pコンポジット1500指数(S&P500、S&Pミッドキャップ400、S&Pスモールキャップ600で構成)に含まれる企業のうち、以下の条件を満たす企業が抽出されました。
- 配当利回りが2%以上
- FCF利回りが配当利回りを大きく上回っている
- アナリスト5人以上によるカバレッジがある
その結果、以下の10社が高配当かつFCFの裏付けが強い銘柄として紹介されています。
企業名 | ティッカー | 配当利回り | 実績FCF利回り | 予想FCF利回り |
---|---|---|---|---|
シビタス・リソーシズ | CIVI | 6.92% | 32.48% | 24.22% |
クレセント・エナジー | CRGY | 5.68% | 38.87% | 28.13% |
ビアトリス | VTRS | 5.39% | 17.95% | 19.35% |
リンカーン・ナショナル | LNC | 5.28% | 20.62% | 21.65% |
クリアウェイ・エナジー(C株) | CWEN | 5.23% | 13.96% | 15.69% |
コールズ | KSS | 4.80% | 9.77% | 36.79% |
ネクスター・メディア・グループ | NXST | 4.09% | 20.88% | 19.57% |
オムニコム・グループ | OMC | 3.98% | 12.80% | 13.47% |
トラベル・アンド・レジャー | TNL | 3.94% | 11.68% | 14.66% |
コムキャスト(A株) | CMCSA | 3.77% | 12.32% | 12.57% |
長期投資に向く候補として検討の価値あり
上記企業は、配当利回りだけでなく、潤沢なキャッシュフローによってその配当がしっかり支えられている点で注目されます。なかでもシビタス・リソーシズやクレセント・エナジーのようにエネルギーセクターに属する企業は、商品市況の影響を受ける一方で、FCFの伸びが大きく、配当の継続性に期待が持てます。
ただし、あくまで今回のリストは定量的なスクリーニングの結果であり、実際の投資判断には個別企業の事業内容やリスク要因の分析も重要です。
安定配当を狙う投資家にとっては、配当利回りとキャッシュフローのバランスに注目した選定が、今後ますます有効なアプローチになりそうです。