2025年7月18日付のバロンズ記事によると、動画ストリーミング業界で最も注目すべきライバル関係は、もはやネットフリックス(NFLX)とディズニーやアマゾン、アップルではなく、YouTubeとの競争にあるようです。
YouTubeが米国視聴シェアで首位に
ネットフリックスは2025年第2四半期決算で、1株当たり利益が47%増加し、視聴者シェアも8.3%と安定的な数字を記録しました。しかし、アルファベット(GOOGL)傘下のYouTubeは、米国での視聴シェアを1年前の9.9%から12.8%に拡大し、ネットフリックスを上回る結果となりました。
ネットフリックスは自社コンテンツと有料会員制を柱に成長してきましたが、YouTubeは広告とユーザー生成コンテンツ(UGC)をベースに拡大してきた点で、収益構造が大きく異なります。
収益モデルの融合と激化する競争
近年、両社のモデルは徐々に重なり始めています。ネットフリックスは広告付きプランを導入し、YouTubeはYouTube TVやNFL Sunday Ticketなど有料サービスを通じてサブスクリプション収益を強化しています。
収益面でもYouTubeが一歩先を行っているようです。ネットフリックスは2025年の売上ガイダンスを450億ドルと予想していますが、ニーダムのアナリストによれば、YouTubeは2025年に700億ドルの売上が見込まれており、そのうち300億ドルがサブスクリプションからの収入とされています。
コンテンツ制作コストと収益性の差
ネットフリックスの最大のコストはコンテンツ制作費で、第2四半期には全体コストの52%を占めました。一方、YouTubeはコンテンツ制作をクリエイターに委ねており、資産効率が高く、利益率にも優位性があります。
ただし、ネットフリックスも新たな戦略として、YouTubeの人気クリエイターと連携し、番組化する動きを見せています。実際、人気YouTuber「Miss Rachel」が出演する番組は、2025年前半だけで5,300万時間以上視聴されたと報告されています。
終わりなき視聴争奪戦の行方
YouTubeがテレビの定義を塗り替えたように、今後はさらにTikTokのような超短尺動画アプリが業界に変革をもたらす可能性もあります。視聴者がテレビを「スマホで動画を無限スクロールするもの」と捉えるようになれば、動画市場の勢力図は再び大きく変わるかもしれません。
今回のバロンズ記事では、ネットフリックスの好決算の裏に潜むYouTubeの脅威を浮き彫りにしています。ストリーミング業界の競争は、今後ますます多様化し、複雑化していくことが予想されます。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX