シェブロン、ヘス買収を巡る係争で勝利 ガイアナ油田の権益確保へ前進

  • 2025年7月19日
  • 2025年7月19日
  • BS余話

2025年7月18日、米エネルギー大手のシェブロン(CVX)は、約2年にわたる係争の末、ヘス(HES)との530億ドル規模の買収案件について国際仲裁機関からの承認を受け、買収完了への道筋が整いました。

この判断により、ヘスが保有する南米ガイアナの「スタブロック鉱区(Stabroek Block)」の30%権益がシェブロンに移る見通しとなり、株式市場でも同社への評価が見直され始めています。

エクソンとの係争に終止符、株式市場の不安要素が消失

本件を巡っては、競合するエネルギー大手エクソン・モービル(XOM)がスタブロック鉱区に対する「優先購入権」を主張していたことから、買収プロセスに不透明感が残っていました。今回の仲裁判断はこれを否定する形となり、買収の最大のハードルが取り払われました。

市場関係者からは「今回の決着は、ヘスとシェブロン双方の株主にとって勝利だ」との声が上がっており、買収後の生産成長に対する期待も高まっています。

ガイアナ、パーミアン、メキシコ湾の原油供給強化へ

今回の買収によって、シェブロンはガイアナの大規模油田に加え、ノースダコタ州のバッケン頁岩油田など複数の主要資産を取得することになります。CFRAのアナリストは「今後3〜5年の原油生産成長をけん引する変革的な案件」と評価しています。

また、この買収は全額株式交換によるものであり、財務負担が比較的軽微である点も投資家にとって安心材料となっています。

株価は年初来マイナス圏ながら、再評価の兆し

2025年の年初来で見ると、シェブロン株は約4%下落、エクソン株も8%のマイナスと、エネルギーセクターには逆風が吹いています。一方、S&P500指数(SPX)は同期間に約7%上昇しており、業界全体のパフォーマンスには差が見られます。

しかし、今回の買収完了による「ガイアナ油田の成長ストーリー」が鮮明になったことで、シェブロン株の再評価が進む可能性があります。

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