2025年7月18日、米国電力会社タレン・エナジー(TLN)の株価が大きく上昇しました。同社はガス火力発電所2カ所の買収を発表し、市場の期待を集めています。
ガス火力発電所を3.5億ドルで取得
タレン・エナジーは、ペンシルベニア州のMoxie Freedom Energy Centerと、オハイオ州のGuernsey Power Stationの2カ所のコンバインドサイクル型ガス火力発電所を総額35億ドルで取得すると発表しました。これにより、同社の発電能力は約3GW増加し、合計で14GWとなります。なお、買収資金は新たに発行する38億ドルの債券によって調達され、既存債務のリファイナンスにも充てられます。
データセンター需要に対応する動き
今回の買収は、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)との提携など、AIやデータセンターの電力需要増加に対応する動きとみられています。米国北東部のPJM市場に属するエリアでの供給力を強化し、信頼性の高い電力を大規模クラウド事業者に提供する体制が整いつつあります。
UBSが目標株価を引き上げ
UBSのアナリスト、ウィリアム・アピチェリ氏はこの買収を高く評価し、タレンの2026年の調整後フリーキャッシュフロー予測を6億9300万ドルから9億5600万ドルに引き上げました。目標株価も366ドルから399ドルへと引き上げ、「買い」評価を継続しています。
株価は1年で2倍に上昇
タレン・エナジーの株価は7月18日のプレマーケットで18.5%高の312.89ドルを記録。過去1年間で株価は2倍以上に上昇しており、AI関連インフラの恩恵を受ける企業として投資家の注目を集めています。
AIインフラへの投資拡大も追い風
トランプ大統領が今週ペンシルベニア州で発表したAIとエネルギー分野への920億ドル規模の新投資や、アルファベット(GOOGL)による250億ドルの地域投資計画も、同地域のインフラ需要を後押ししています。
まとめ
タレン・エナジーはこれまでの原子力中心の戦略に加え、柔軟性のあるガス火力資産を取得することで、AI時代の電力ニーズに対応しようとしています。高まるデータセンター需要と、それに応じた電源ポートフォリオの拡充は、同社の成長をさらに加速させる可能性があります。