2025年7月17日、米国議会は暗号資産業界にとって大きな転換点となるステーブルコイン規制法案「Genius法案(Genius Act)」を可決しました。これは、米ドルなど法定通貨と連動する暗号資産であるステーブルコインに初めて明確なルールを与える法案であり、業界の長年のロビー活動の成果といえます。
この法案はすでに6月に上院を通過しており、トランプ大統領が7月19日にも署名する見通しです。主にサークル・インターネット(CRCL)やコインベース(COIN)が強く支持してきたもので、今後は米国でステーブルコインがより広く日常に浸透する可能性が高まりました。
暗号資産相場にもポジティブな反応
法案可決を受けて、ビットコインは過去1週間で6.4%上昇しました。主要なアルトコインも強含みで、イーサリアム(ETH)は23%、XRPは33%の上昇を記録しています。市場では制度整備が進むことにより、機関投資家の参入が一段と進むとの見方が強まっています。
ただし業界の課題は残る
一方で、暗号資産の取引所やブローカー、トークン全般のルールを定める「市場構造法案」については、上院での採決がまだ行われておらず、可決への道のりは険しい状況です。民主党内でも慎重論が根強く、特にエリザベス・ウォーレン上院議員らは、既存の証券法で十分だとして新たな法整備に否定的な立場を取っています。
また、トランプ大統領自身が関与する暗号資産事業が法案の中立性を損なうとの懸念も一部で指摘されており、今後の法制化に影響を与える可能性があります。
今回の可決は象徴的な勝利にとどまるか
TDカウエンのアナリストは「今回の法案可決は象徴的に重要だが、実質的に意味を持つのは上院がどのような条文を通すかだ」とコメントしています。上院銀行委員会はようやく関連法案の公聴会を開始した段階で、実際に法案が成立するには年末以降までかかる可能性もあるとの見方です。
まとめ
今回のステーブルコイン法案の可決は、米国暗号資産業界にとって大きな前進ではありますが、全面的な制度整備にはまだ時間がかかると見られています。特に、トークンや取引所に関する規制を巡っては、今後も議論が続くことになりそうです。