2025年7月17日に発表されたネットフリックス(NFLX)の2025年第2四半期決算は、アナリスト予想を上回る好結果となりました。純利益は前年同期の21.5億ドルから31.3億ドルに増加し、1株利益(EPS)は7.19ドルと、ファクトセット調べの予想の7.07ドルを上回りました。
しかし、発表後の時間外取引で株価は約2%下落しました。6月末には過去最高値の1,341.15ドルを記録していた同社の株価には、すでに高い期待が織り込まれていた可能性があります。
売上も増加、為替要因が寄与
売上は前年同期の95.6億ドルから110.8億ドルに増加し、こちらも市場予想をわずかに上回りました。主な要因としては、米ドル安による為替の恩恵に加え、会員数の堅調な伸びと広告売上の増加が挙げられています。
2025年通期の売上予想も、為替条件の改善と事業の成長を反映して、従来の435億~445億ドルから448億~452億ドルに上方修正されました。
新たな成長ドライバーとしての広告とライブイベント
ネットフリックスは2024年末から新規会員数の公表を停止しており、代わりに売上や営業利益などの財務指標での評価を重視する方針に転換しています。
同社は現在、ライブイベントやスポーツ中継といった新分野への進出を進めており、広告付き低価格プラン(7.99ドル/月)の導入も、価格に敏感な消費者層を取り込む戦略として機能しています。
広告事業については、自社の広告配信プラットフォームをすべての市場で展開し、初期的な成果が出ているとしています。
株価は成長を先取り?アナリストの見解は分かれる
ネットフリックスは2030年までに売上倍増、時価総額1兆ドル、グローバル会員数4億人、営業利益3倍という野心的な長期目標を掲げています。直近では、シーズン3が公開された『イカゲーム』が10日間で1億人以上に視聴されるなど、コンテンツ面でも強さを見せています。
一方で、一部のアナリストからは、株価が企業の実力を先取りして上昇しすぎているとの指摘もあります。ファクトセット調べの平均目標株価は1,270ドル前後とされており、現状の株価水準からの上昇余地は限定的と見る向きもあります。
「1兆ドルクラブ」入りは現実的か?
バーンスタイン・リサーチのアナリストは、ネットフリックスの長期的なビジネスの健全性や価値に懐疑的になる理由は見当たらないとしつつも、2030年までに「1兆ドルクラブ」入りが実現可能かどうかは、今後の成長戦略の実行力次第としています。
今後は、広告事業の拡大やライブイベントの定着、そして価格帯の異なる会員層の獲得が、ネットフリックスの株価動向を左右する重要な要素となりそうです。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX