台湾の半導体受託製造大手、台湾積体電路製造(TSMC)は7月17日、2025年第2四半期の決算を発表しました。エヌビディア(NVDA)やアップル(AAPL)などの顧客向けに半導体を製造する同社は、生成AI向けの需要拡大が収益の大幅な成長を後押ししたとしています。
TSMCの純利益は前年同期比61%増の3983億台湾ドルとなり、市場予想の3781億台湾ドルを上回りました。また、先週発表された売上高は9332億台湾ドルで、こちらも前年から39%の増加となっています。特に高性能コンピューティング(HPC)向けの事業が全体売上の60%を占め、AI半導体需要の強さが際立ちました。
第3四半期の売上ガイダンスも堅調
TSMCは第3四半期の売上見通しとして、米ドルベースで318億~330億ドルを提示しました。第2四半期の300.7億ドルからは増加が見込まれており、台湾ドル換算では最大1兆500億台湾ドルに達する可能性があります。アナリストの予想(9273億台湾ドル)を大きく上回る水準となっています。
一方で、営業利益率は第2四半期の49.6%から45.5~47.5%へと若干の低下が予想されています。これは為替の影響やコスト要因を織り込んだ結果と見られます。
エヌビディアの中国販売再開にも言及
カンファレンスコールでは、CEOの魏哲家氏が、エヌビディアのH20チップが中国市場で再び販売できるようになったという報道について、「確かに良いニュースだ」とコメントしました。ただし、正式な通知は受けておらず、ガイダンスにはまだ織り込んでいないと述べています。
TSMCの米国預託株式(ADR)は、2025年に入ってから20%上昇しており、ロビンフッドのプレマーケット取引ではさらに5%上昇しました。世界的なAI需要の拡大が今後も同社の業績を支えると期待されます。
このように、AI分野における成長がTSMCの好業績を支えており、今後も同社の動向には注目が集まります。特にHPCやデータセンター向け半導体市場が引き続き拡大する中で、TSMCの供給能力と技術力は引き続き世界市場において大きな存在感を放つことになりそうです。
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