ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の株価が2025年7月16日、前日比で6%超の上昇を記録しました。背景には、2025年の関税コスト見通しの大幅な下方修正と、通期の業績ガイダンスの上方修正があります。
関税の影響は200百万ドルにとどまる見通しに
同社はこれまで、2025年の関税コストを4億ドルと見積もっていましたが、今回の四半期決算発表の場で、その見通しを半分の2億ドルに修正しました。メドテック部門のみに影響が集中しているとのことで、削減されたコストは新薬開発や製品投入に再投資される見込みです。
業績は市場予想を上回る好内容
2025年4~6月期の売上高は237.4億ドルで、前年同期比5.8%増となり、市場予想の228.5億ドルを上回りました。米国売上は7.8%増の135.4億ドル、国際売上も3.2%増の102億ドルとなりました。特に、がん治療薬や心疾患関連製品が業績を牽引しました。
調整後1株利益は2.77ドルとなり、市場予想(2.68ドル)を上回っています。
通期見通しも上方修正
ジョンソン・エンド・ジョンソンはまた、通期の調整後1株利益見通しを従来の10.50〜10.70ドルから、10.80〜10.90ドルに引き上げました。売上見通しも912億〜918億ドルから932億〜936億ドルに増額しています。CEOホアキン・ドゥアト氏は、後半の成長加速を見込んでおり、肺がんや乾癬、うつ病、心血管・外科領域などでの承認・申請が予定されていると述べています。
米国内投資と税制改革への期待
同社は今後4年間で米国に550億ドル以上を投資する計画を進めており、医薬品の国内製造強化を目指しています。トランプ政権の新たな税制改革は、こうした国内投資や雇用創出、イノベーション促進に寄与していると評価しています。
また、「最恵国待遇(Most Favored Nation)」政策による薬価引き下げについても、同社は「流通経路に潜むコスト構造や不公平な国際価格設定こそが問題」とし、米国患者の負担軽減には構造的な改革が必要だとしています。
配当利回りは3.2%、株主還元姿勢を維持
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、1株あたり1.30ドルの四半期配当を発表しました。これは4月と同水準で、現在の株価に基づく配当利回りは約3.21%となっています。
バイオ医薬品セクター全体にも好影響
この決算を受けて、ファイザー(PFE)、イーライ・リリー(LLY)、メルク(MRK)などの競合企業の株価も堅調に推移しています。バイオ医薬品セクター全体にポジティブな流れを生み出す決算となりました。