株式市場では、「クリプト・ウィーク」と呼ばれる今週、サークル・インターネット・グループ(CRCL)の株価が大きく変動しています。7月16日(水)の米国市場では、暗号資産規制に関する進展期待や金利政策を巡る憶測が重なり、株価は19.39%高と急騰、終値は233.2ドルとなりました。
15日は手続き上の混乱で株価下落
サークルの株価は15日に4.6%下落しました。これは、暗号資産規制に関する法案審議が、議会での手続き的な問題によって遅れる可能性が出たことが要因です。数多くの法案が今週審議される予定でしたが、これにより議決が先送りされる懸念が広がりました。
16日に急騰、背景に議会と連邦準備制度への注目
一転して16日には株価が大きく反発しました。背景には、議会での規制法案可決への期待感が再燃したことに加えて、トランプ大統領と連邦準備制度(FRB)との関係に対する注目が高まったことがあります。複数の報道によれば、トランプ大統領はジェローム・パウエル議長の更迭を検討しているとされており、これが市場に大きな波紋を広げています。
サークルの収益構造と金利の関係
サークルは、ステーブルコイン「USDC」の発行元として知られています。同社の主な収益源は、USDCの裏付け資産として保有する現金準備金から得られる金利収入です。2024年末時点での準備金は約440億ドルに達しており、米連邦準備制度が金利を1ポイント引き下げるだけで、サークルの利益は少なくとも5億ドル減少する可能性があります。
現在、USDCの市場規模は633億ドルに拡大しており、金利動向が同社の業績に与える影響はさらに大きくなっています。今回の株価上昇は、トランプ大統領によるパウエル議長への圧力が、むしろ金利の据え置きまたは引き上げにつながるのではという市場の読みが背景にあると考えられます。
今後の注目点:規制と決算発表
トランプ大統領はパウエル議長の解任を否定していますが、実際に連邦準備制度の高官を大統領が解任する法的権限には疑問が残ります。そのため、今後の金利政策に対する影響は不透明です。ただし、今週中に暗号資産関連の法案が可決されれば、規制の枠組みが整うことに対する期待は大きく、ステーブルコイン市場にも追い風となる可能性があります。
サークルは、8月12日に上場後初となる決算発表を予定しており、同社の実態に対する注目が集まっています。これまで非上場企業として限られた情報しか公開してこなかった同社が、どのような財務内容を示すのかが今後の株価にも大きな影響を与えそうです。