MPマテリアルズ株が急騰、アップルとの提携が後押し

米国のレアアース採掘・加工企業であるMPマテリアルズ(MP)の株価が、2025年7月15日の米国市場で一時26%上昇しました。背景には、同社が米アップル(AAPL)と締結した大規模な供給契約の発表があります。

アップルが5億ドルをコミット、再生磁石の供給へ

今回の提携により、MPマテリアルズはアップルに対して再生レアアース磁石を供給することになり、その契約総額は5億ドルにのぼるとされています。アップルはこの取り組みの一環として、テキサス州フォートワースにあるMPマテリアルズのマグネット製造施設の拡張にも関与し、さらにカリフォルニア州マウンテンパスで再生素材の加工ラインを共同で構築する計画です。出荷は2027年に開始される予定ですが、アップルは先行して2億ドルの前払いを行うと報じられています。

国防総省との契約も株価を後押し

MPマテリアルズの株価は、直近1か月で2倍に上昇しています。その背景には、米国防総省との間で締結されたレアアース供給契約があり、この契約では製品価格の下限が保証される内容となっています。このニュースが発表された際も、株価は50%以上急騰しました。

*過去記事「MPマテリアルズ急騰!国防総省契約で株価3倍超へ

米国最大のレアアース生産企業、リサイクル事業にも期待

MPマテリアルズは、米国で最大のレアアース生産者であり、カリフォルニア州で採掘を行い、テキサス州で磁石の製造を進めています。今回のアップルとの提携は、新たにリサイクル分野への進出を本格化させる契機とも見られており、投資家にとって注目ポイントとなっています。

リサイクルは成熟した金属供給網において重要な要素であり、2024年には米国内の銅消費の約10%がリサイクル由来でした。レアアースにおいてもリサイクルの割合が高まることで、廃棄物の削減、採掘圧力の緩和、海外依存の軽減につながると期待されています。

株価の見通しはさらに上昇か

MPマテリアルズの株価は年初には16ドル付近でしたが、国防総省との契約後にアナリストの目標株価が55ドルまで引き上げられました。今回のアップルとの提携を受けて、さらに上方修正が続く可能性があると見られています。D.A. デビッドソンのアナリスト、マット・サマーヴィル氏も、今回の契約によってMPマテリアルズの商業的な勢いがさらに増すとコメントしています。

今後、米国内のレアアース供給体制の自立に向けた取り組みが加速する中、MPマテリアルズの動向には引き続き注目が集まります。

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