「マスク氏=太陽」説再び 燃え尽きる幹部たちの現実

2025年7月13日付のウォール・ストリート・ジャーナルによれば、イーロン・マスク氏が再び本格的に自身のビジネス帝国に関与し始めたことで、複数の企業で幹部の離脱が相次いでいます。

XのCEOヤッカリーノ氏が退任

話題となっているのは、旧ツイッターであるXのCEOリンダ・ヤッカリーノ氏の退任です。ヤッカリーノ氏は2023年にNBCユニバーサルからXに移籍し、広告ビジネスの立て直しに取り組んでいました。マスク氏の「売り込み嫌い」な姿勢のなか、広告主の信頼回復に尽力していましたが、ついに職を離れる決断を下しました。

テスラでも幹部が離脱

同時期、テスラ(TSLA)の北米・欧州における営業と製造を担当していたオミード・アフシャー氏も退職しています。マスク氏の企業ではこれまでも幹部の離脱がたびたび報じられており、特に営業部門の責任者が長く在任することは稀とされています。

「マスク氏が太陽」説 燃え尽きる幹部たち

記事では「マスク氏の下で生き残るには、太陽に近づきすぎないことだ」という元社員たちの比喩が紹介されています。マスク氏が積極的に業務に関与し始めると、近くにいる人ほどその強烈なエネルギーに巻き込まれやすいと指摘されています。

セールス嫌いとAI推進

マスク氏は昔から「良い製品は自ら売れるべきだ」という信条を持ち、従来型の営業手法には否定的な立場をとってきました。その一方で、xAIを通じてAIモデル「Grok」の開発に熱心に取り組み、先日は英語アクセントのAIがダイエットコークをテーマにオペラを歌うというデモを披露しました。

幹部層の空白が生むリスク

かつては「テスラには自分以外にも有能な幹部が揃っている」と述べていたマスク氏ですが、現在ではその「ベンチの厚み」が失われつつあります。テスラの元CFOなど有力な後継候補も去っており、同社やXは今後の経営運営において不透明感を抱えています。

それでも働き続けるマスク氏

Neuralinkの深夜ミーティング中にSpaceXのロケットが爆発したことを知っても、マスク氏はそのまま仕事に戻ったと伝えられています。このような超人的な働きぶりが周囲に無言のプレッシャーを与えているとも見られています。

マスク氏の多忙さと強烈なリーダーシップが、企業の革新を推し進める一方で、幹部層の離脱や疲弊を招いている現実。AI、自動車、宇宙事業と多岐にわたる領域を率いるマスク氏の「一極集中体制」は、今後さらに試練を迎えるかもしれません。

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