2025年7月に開催されたアマゾン(AMZN)の「プライムデー」は、米国だけでなく世界中の消費者を巻き込んだ大型セールイベントとなり、大きな話題を呼びました。今年のプライムデーは例年の2日間から4日間へと拡大され、その効果は売上データにもはっきりと表れています。
米国のオンライン支出、前年比30%増の241億ドルに
調査会社アドビ(ADBE)の最新データによると、今年のプライムデー期間(7月8日から11日)における米国のオンライン売上は241億ドルに達し、前年から30%以上増加しました。この金額は2024年のブラックフライデーの2倍以上にもなります。
アマゾンはイベントの中心的存在ではありますが、ウォルマート(WMT)やコストコ(COST)といった他の小売業者も同時期に割引イベントを展開し、競争が激化しました。
プライムデーでの購買行動は「リサーチ型」に変化
消費者調査を行うNumeratorによれば、アマゾン上で買い物をした約52,000世帯は15万件以上の注文を行い、平均購入額は53.34ドルでした。また、半数以上のユーザーが他の小売サイトで価格比較をしてから購入を決定しており、購買行動は「衝動買い」から「慎重な比較型」へと変化していることが示されました。
セール後半に急伸したアマゾンの売上
FlywheelやMomentum Commerceといったアマゾン向け販売支援企業のデータによると、初日と2日目はやや静かな滑り出しだったものの、3日目以降の売上は急増。特に最終日となる11日は、前年同日の売上と比べて165%増加したと報告されています。
また、家電製品やアパレルなどの高額商品が好調だったほか、生活必需品や学用品も売れ筋となりました。販売価格の約3分の2が20ドル以下という手頃さも、購買を後押ししたようです。
他社にとっても販売機会に
アマゾンのプライムデーが他社に悪影響を与えたかというと、必ずしもそうではありません。Momentum Commerceの分析では、同イベントが他のプラットフォームでの売上増加にも寄与したとされており、プライムデーが全体的な購買機運を生んだともいえます。
一方で、Coresight Researchのデボラ・ウィンスウィグ氏は、消費者が他社の価格の方が安いと気づく機会にもなり、アマゾンの長期的な競争力に影響を与える可能性があると指摘しています。
アマゾン株価はイベント後に上昇傾向
アマゾンはプライムデーの売上や会員登録数などの詳細を公開していないものの、イベント後の株価には好影響が見られます。2025年のプライムデー終了後、アマゾン株は1.2%上昇しました。これまでのデータでも、プライムデー後の1週間で平均1.11%、1か月後には3.29%上昇する傾向があるとされており、イベントが投資家心理にも好影響を与えていることがうかがえます。
おわりに
2025年のプライムデーは、期間延長による「ブラウジングマラソン」型の購買体験や、他社との競争が浮き彫りになる結果となりました。今後の売上成長や新規会員数の推移にも注目が集まります。