アナログ半導体大手のテキサス・インスツルメンツ(TXN)は、2025年7月11日にTDカウエンのアナリストから投資判断を「ホールド」から「買い」へと引き上げられました。産業用および自動車市場の回復が期待される中で、同社が今後の成長恩恵を受けやすい立場にあると評価されたことが背景にあります。
同社はアナログおよび組込みシステムに強みを持ち、景気変動の影響を受けにくいビジネスモデルを展開しています。加えて、アメリカ国内に生産拠点を持つことから、関税などの貿易リスクを相対的に軽減できるとされています。
成長見通しと株価の上値余地
テキサス・インスツルメンツの株価は、最近221.40ドルを記録し、過去最高値を更新しました。TDカウエンは新たな目標株価を245ドルに設定し、現在の株価水準からさらに11%程度の上昇が期待できると見込んでいます。
一方で、現在のバリュエーションは割高であるとの指摘もあります。株価収益率や将来のフリーキャッシュフローに対する企業価値倍率などは、過去5年および10年の平均を上回っている状況です。ただし、同社の独自性や財務の安定性を考慮すれば、プレミアム評価に値するとの見方もあります。
フリーキャッシュフローと長期的な成長力
テキサス・インスツルメンツは、長期的には年率7〜10%の成長が見込まれており、フリーキャッシュフローの利益率は35%で安定すると予測されています。TDカウエンの分析によると、同社は需要が減速する局面においても、1株あたり7ドル以上のフリーキャッシュフローを維持できるとされています。
また、同社はTMT(テクノロジー・メディア・通信)分野における約400社の中から、成長性とスケーラビリティの観点で厳選された5社の一つとされています。これは長期的な資本効率の高さを裏付ける要素でもあります。
今後の注目ポイント
テキサス・インスツルメンツは、産業用や自動車向け市場の回復とともに再評価される可能性があります。フリーキャッシュフローを安定的に創出し、関税リスクを回避できる製造体制を持つ点は、投資家にとって安心材料です。
競争が激化する半導体市場においても、エヌビディアなどと異なるビジネスモデルを採用していることで、独自の立ち位置を築いています。今後も中長期的に注目される銘柄となりそうです。