米国のレアアース生産企業であるMPマテリアルズ(MP)の株価が2025年7月、わずか2日間で60%以上も急騰しました。背景にあるのは、米国防総省との大型契約発表です。
株価は年初来で200%上昇
7月10日、MPマテリアルズは米国防総省との新たな提携を発表しました。これにより、同社は資金援助と有利な価格設定を受けながら、米国内での希土類供給体制を強化することが可能になります。このニュースを受け、同社株は1日で51%急騰。翌日の11日も続伸しており、年初からの上昇率は200%に達しました。
アナリストは目標株価を2倍に引き上げ
カナコード・ジェニュイティのアナリストであるジョージ・ジアナリカス氏は、同社株の目標株価を27ドルから55ドルに引き上げました。同氏はこの動きについて「米国の希土類磁石自立を加速させるトランプカード」と表現しています。
レアアースは安全保障にも直結
レアアースは電気モーター用の磁石や航法装置などに不可欠であり、F-35戦闘機には900ポンド以上の希土類が使用されています。現在、中国が世界のレアアースの約70%を採掘し、85%以上の精製能力を握っています。今回の米政府の支援策は、こうした依存体制を脱却するための戦略的な一歩といえます。
米国最大のレアアース生産企業
MPマテリアルズは、米国ネバダ州にあるマウンテン・パス鉱山を拠点に、ネオジムやプラセオジムといったレアアース酸化物を生産しています。米国内での精製比率はまだ約40%にとどまりますが、フォートワース(テキサス州)の新工場では磁性材料の製造も始めています。
今後の利益見通しも上方修正
米調査会社ファクトセットによると、2028年のEBITDA(利払い・税・減価償却前利益)は従来予想の2億2,500万ドルから4億1,400万ドルに引き上げられました。2030年には7億4,200万ドルという見通しも出ています。アナリストの強気な見立てでは、年間1万トンの磁石生産が実現すれば、さらに高い利益水準に到達すると期待されています。
投資家の関心が高まる可能性
MPマテリアルズは、レアアース関連株として長年注目されてきましたが、今回の政府支援により、改めて米国の戦略的資源確保の主役として脚光を浴びています。アナリスト評価のうち73%が「買い」としており、今後も目標株価の上方修正が相次ぐ可能性があります。
*過去記事「MPマテリアルズ株が急騰、米国防総省との契約が追い風に」