2025年に入ってから約41%も上昇している米ソフトウェア大手のオラクル(ORCL)に対し、米証券会社パイパー・サンドラーのアナリストが新たに「オーバーウエイト(買い推奨)」へ格上げしました。
AIとクラウドインフラの需要がカギ
この格上げを行ったのはアナリストのブレント・ブラセリン氏で、目標株価も従来の190ドルから270ドルへと大幅に引き上げています。背景にあるのは、AIインフラおよびクラウドへの企業投資が加速しており、オラクルがその恩恵を受けるとみられている点です。
とりわけ注目されているのが、ソフトバンクおよびオープンAIと共同で進める5000億ドル規模のAIインフラ計画「スターゲート」です。ただし、それに加えてオラクルのクラウドサービス「OCI(Oracle Cloud Infrastructure)」の利用拡大も、業績成長を後押しすると分析されています。
IT予算の増加が追い風に
パイパー・サンドラーが北米の70社に実施した調査によれば、2025年にIT予算を増やすと回答した企業は85%にのぼり、AIインフラへの投資を増やすと答えた企業は93%に達しました。中でもOCIへの支出を増やすとした企業の割合は、2023年12月の4%から2024年12月には18%、そして今回の調査では27%に上昇しています。
このようなIT支出の傾向は、オラクルのスターゲートプロジェクトに加えて、既存のエンタープライズ顧客によるクラウド導入意欲が高まっていることを示しています。
業績ガイダンスも強気
オラクルは、今後1年間で未実現の受注残高が2倍に増加すると見込んでおり、クラウドインフラの売上は70%の成長が見込まれていると発表しています。これらの数字には、スターゲートによる売上は含まれていないとのことです。
会長のラリー・エリソン氏は6月のカンファレンスコールで「オラクルはクラウドデータベース、クラウドアプリケーション、クラウドインフラの3分野でナンバーワンになる」と語っています。
競合も恩恵を受ける見通し
もちろん、IT支出拡大の恩恵を受けるのはオラクルだけではありません。調査では、マイクロソフト(MSFT)のAzureも高評価を得ており、Azureに支出を増やすとした企業は昨年12月の24%から30%へと増加しています。アマゾン(AMZN)のAWSやアルファベット(GOOGL)のクラウドプラットフォームとともに、オラクルとマイクロソフトは「ビッグ4」のインフラ事業者としての存在感を示しています。
ブラセリン氏はオラクルの格上げに加え、マイクロソフトにも「オーバーウエイト」評価を維持し、目標株価を475ドルから600ドルに引き上げました。
まとめ
AIとクラウドインフラに対する投資が急増するなか、オラクルはその中心的存在として評価を高めています。スターゲートという大型プロジェクトに加え、OCIの採用拡大が業績を押し上げる可能性が高いとみられており、今後も注目の銘柄といえそうです。