米半導体大手エヌビディア(NVDA)が、2025年7月10日の取引終了時点で時価総額4兆ドルに達し、米国市場史上初めてこの記録を達成した企業となりました。前日に一度は4兆ドルを突破したものの、その日は終値で届かず。しかし翌日には勢いを取り戻し、ついに正式にこの歴史的マイルストーンを突破しました。
エヌビディア株は年初来で21%上昇
エヌビディアの株価は、年初来および過去12か月で21%の上昇を記録しています。年初には中国のAI企業「DeepSeek(ディープシーク)」が、最先端のチップを使わずにAIモデル「R-1」のトレーニングに成功したと発表し、一時的に市場に不安が広がりました。その際、同社の時価総額は6億ドル以上減少しました。
また、AI業界がトレーニングから推論(インファレンス)へと移行しつつある中、低価格・低性能チップへのシフトが懸念されました。
高性能チップのニーズは依然として健在
しかし現在までのところ、これらの懸念は現実にはなっていません。エヌビディアのチップは依然としてAIトレーニングに最適とされており、推論用途でも高性能チップが求められています。高性能チップを使うことで、AIソフトウェアがより複雑な質問に迅速に回答できるようになるためです。
クラウド大手に加え「ソブリンAI」向けの需要も拡大
エヌビディアの売上の約半分は、アマゾン(AMZN)、グーグル(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)といったクラウド大手企業からの需要によるものです。加えて、最近では「ソブリンAI」と呼ばれる各国独自のAIデータセンターへの供給も強化しています。
特にサウジアラビアやヨーロッパ諸国では、数十万単位でエヌビディア製チップの導入が見込まれています。
中国への輸出規制を乗り越える
バイデン政権とトランプ政権の双方による対中チップ輸出規制により、エヌビディアは前四半期に45億ドルの損失を計上し、今期も80億ドルの減収を見込んでいます。それでも株価は上昇を続けており、同社の競争優位性は揺るいでいません。
競合企業はまだ追いつけず
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)やインテル(INTC)といった競合企業は、AIデータセンター市場でのシェアはまだ限定的です。アマゾンやグーグル、マイクロソフトなども独自のAIチップを開発していますが、それでも依然としてエヌビディア製チップの需要は高いままです。
このように、エヌビディアはAIインフラ分野でのリーダーとしての地位をさらに強固なものにしつつあり、その成長は今後も注目され続けそうです。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA