デックスコム株、再浮上の兆し──戦略ミスからの逆転劇

2025年7月、米国株式市場で再び注目を集めているのが、持続血糖モニター(CGM)を手掛けるデックスコム(DXCM)です。2024年には戦略転換の失敗により株価が急落しましたが、現在はその誤りを認めた上で、再び大きな市場に挑もうとしています。

「失敗」から学び、再挑戦へ

デックスコムはこれまで、主に1型糖尿病患者向けの市場で成長してきました。しかし、2024年により大規模な2型糖尿病市場に軸足を移した結果、従来の主力市場である1型向けの売上が急減。2024年7月には売上見通しを20億ドルも下方修正し、株価は1日で41%下落しました。

ただし、多くのアナリストはこの転換を「戦略の失敗」ではなく「実行の失敗」と捉えています。米国における糖尿病患者は約3,800万人とされ、そのうち2型が9割以上を占めます。この巨大市場への参入自体は理にかなっており、正しく実行すれば大きな成長が見込めます。

市場拡大の可能性と保険適用の追い風

米トゥルイスト証券のアナリストは、「2024年の失敗はすでに織り込み済みであり、今後は2型糖尿病患者への普及によって成長が再加速する」と指摘します。現在、CGMの利用率は糖尿病患者全体の7〜8%にとどまりますが、数年で倍増するとの見方もあります。

さらに、保険会社によるカバー範囲の拡大も追い風です。これまで適用外とされていたインスリン非使用の2型患者約2,500万人にも、今後は保険適用が広がる可能性があります。

新型CGMによるコスト削減と利益改善

競合のアボット・ラボラトリーズ(ABT)は、15日間使用可能なCGMを販売していますが、デックスコムの現行機種は10日間対応。しかし、同社は年内にも15日型の新モデルを投入する予定で、これにより装着回数が減り、コストも最大3分の1削減される見込みです。

ジェフリーズのアナリストは「この製品刷新によって粗利益率は現在の62%から68%へと改善する」と予測しています。

割安水準にある株価

現在の予想株価収益率(PER)は36.8倍で、1年前の57倍から大きく低下しています。今後、売上成長率が再び20%を超える水準に戻れば、バリュエーションの見直しも十分に期待できます。

BTIGのアナリストも、業績回復が株価上昇のきっかけになると見ており、目標株価を109ドルに設定しています。

過去記事との比較:いま、何が変わったのか

当ブログではこれまでにも、デックスコムを何度か取り上げてきました。1型糖尿病市場における強み、G6からG7への進化、高い粗利構造などを評価してきました。

しかし2024年の戦略転換では、急な方向転換による業績悪化に市場は失望し、「2型市場へのシフトが早すぎたのではないか」との懸念も広がりました。

現在は、その戦略が見直され、保険適用の広がりや新製品投入といった具体的な進展が見られる段階にあります。かつて「市場拡大の余地」として期待していた部分が、いよいよ現実の成長ドライバーとして動き始めているのです。

過去にデックスコムへ注目していた投資家にとって、今はまさに再評価のタイミングといえそうです。

*過去記事はこちら「デックスコム DXCM

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